解体 ロシア外交

2011年10月28日

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関税同盟から「統一経済圏」へ

 これまでも、ロシアは旧ソ連諸国を経済的にまとめようとしてきたが、それは決して容易なことではなかった。2010年7月には、ロシア、そしてロシアと極めて緊密な関係を持つカザフスタン、ベラルーシが関税同盟を成立させ、3ヶ国間の関税を撤廃した。ロシアはウクライナにも、関税同盟への加盟を呼びかけてきたが、ウクライナはすでにWTO加盟国であり、ロシアはWTOに加盟していることは関税同盟加盟への障害にはならないと主張しているものの、実際にはそれは難しい状況だ。

 しかし、プーチン氏は、関税同盟を発展させ、通貨と経済を統一させるだけでなく、法規制を同一化し、資本と人の往来も自由にした「統一経済圏」に2012年1月1日に移行させた上で、国家の枠を超えた強力な統合体にするという計画を発表している。そのような段階になった折には、人々はCIS域内で自由に住所や教育を受ける場所、就職先やビジネスを行う場所を選ぶことができるようになり、そうなれば、欧州と中国を結ぶ巨大な市場が生まれると強調しているのである。そして、この「統一経済圏」こそが、『ユーラシア経済同盟』の基盤になるとも述べている。

自由貿易協定(FTA)も始動

 さらに、10月18日には、ロシアのサンクトペテルブルグでCIS首脳会談が開催され、現在加盟している11か国(準加盟も含む)のうち、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギス、モルドヴァ、タジキスタンという8ヶ国がCIS域内の自由貿易協定(FTA)に署名した。

 同署名を受けてプーチン首相は、FTAはCIS域内の貿易と経済関係を発展させる新しい基礎が作られるという点で重要だとして、高らかにFTAを称えたうえで、今回、署名しなかったアゼルバイジャン、ウズベキスタン、トルクメニスタンも今後の署名を検討することになっていると述べた。

 実は、CISに自由経済地域を創設する条約は1994年に調印されていたが、それにはロシアを含め、多くの諸国が批准をせず、条約は実際には機能してこなかった。しかし、その後、新しい文書の作成作業が2002年頃から着手され、2009年から集中的に作業が進められ、今回の調印に至ったという経緯がある。条約は、調印国間の貿易や経済に関する法の簡素化を規定しており、現在、CIS域内で機能している多国間および二国間の自由貿易に関する合意にとって代わるものであるとされている。

 加えてCIS首脳会談では、CIS域内での通貨統制や通貨管理政策の基本的原則についての合意や、2020年までの鉄道輸送の戦略的発展に向けた決定にも調印がなされるなど、一日で28もの文書の調印が行われ、プーチン氏のCIS固めの計画が一気に進展した。

「ユーラシア経済同盟」創設の見通し

 FTA署名の翌日、10月19日には、プーチン首相が、サンクトペテルブルクで開催されたロシア、ベラルーシ、カザフスタンによる「関税同盟」首脳会談後の記者会見で、「ユーラシア経済同盟」の創設宣言が今年12月に調印される見通しを発表した。同会議で、3ヶ国はユーラシア経済同盟の創設宣言の草案をまとめていたが、それが12月までに精緻化される模様だ。12月には、CIS創設20周年を記念する非公式首脳会談がモスクワで開催される予定となっており、その折に、創設宣言の調印がなされる可能性が高いと考えられている。

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