2024年4月19日(金)

今月の旅指南

2019年3月21日

 約1200年前、平安京遷都に伴って官寺として建立された京都の東寺。嵯峨天皇により、弘法大師空海に下賜されて以降、真言密教の根本道場として栄えてきた歴史を持つ。今春、空海の教えとともに東寺に伝わる数々の文化財を紹介する展覧会が開かれる。

国宝 《帝釈天騎象像》
平安時代・承和6年(839) 東寺蔵

 会場には彫刻、絵画、書跡、工芸など密教を象徴する多彩な美術品が並ぶ。なかでも圧巻なのが、東寺講堂に安置された「立体曼荼羅(りったいまんだら)」を構成する如来(にょらい)、菩薩(ぼさつ)、明王(みょうおう)、守護神など21体の仏像のうち15体の展示だ。「降三世明王立像(ごうざんぜみょうおうりゅうぞう)」や「持国天(じこくてん)立像」、「増長天(ぞうちょうてん)立像」、「帝釈天騎象像(たいしゃくてんきぞうぞう)」など国宝11体と重文4体による、講堂で見るのとはまた違った仏像曼荼羅が体感できる。

 密教美術の代表格ともいうべき、曼荼羅図も見逃せない。現存する最古の彩色両界曼荼羅図をはじめ、華を投げて落ちたところに描かれた仏と縁を結ぶ密教の儀式「投華得仏(とうげとくぶつ)」で使われた敷(しき)曼荼羅、長さ約5メートルに及ぶ国内最大級の曼荼羅なども出展される。

 また、空海が創始した真言宗最重要の儀式「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」の堂内の様子を、空海が唐より持ち帰った密教法具や儀式に使われた仏画などで再現した展示などもあり、密教独自の文化財を通してその世界観と出会える。

特別展「国宝 東寺—空海と仏像曼荼羅」
 <開催日>2019年3月26日~6月2日 *会期中、展示替えあり
 <開催場所>東京都台東区・東京国立博物館 平成館(山手線上野駅下車)
   <問>☎03-5777-8600
   URL:https://www.tnm.jp/
 URL:https://toji2019.jp/

*情報は2019年2月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2019年4月号より

 

 

 

 

 

 

 


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