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2019年3月12日

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米連邦航空局(FAA)は11日、東アフリカのエチオピアで離陸直後に墜落した旅客機と同型の機体(ボーイング737マックス8型)について、安全に飛行できるとの見解を示し、今後も運航中止措置は取らない方針を米航空各社に伝えた。同型機をめぐっては、半年で2度の墜落事故が発生している。

エチオピアの首都アディスアベバからケニア・ナイロビに向かっていたエチオピア航空302便は10日、離陸から約6分後の午前8時44分頃に墜落し、乗客乗員157人全員が死亡した。

昨年10月にインドネシア沖に墜落し、189人の犠牲者を出したライオン航空機も、今回と同型のもの。

事故を受けて、同型機の使用中止の動きが広がっている。

中国の航空当局は11日午前、中国の航空各社に同型機の使用中止を命令した。中国国際航空、中国東方航空などが影響を受ける。

またインドネシア航空当局も同型機の国内での使用中止措置をとったほか、エチオピア航空とケイマン航空、アルゼンチン航空、ブラジルのゴル航空も同型機の運用を中止した。

しかし米連邦航空局(FAA)は、同型機は安全に飛行できるとする「連続式耐空通知」を発効した。

同型機を製造した米ボーイング社は安全性を主張しており、中には使用を継続している航空会社もある。

ボーイング社の株価は11日、事故の影響から12.9%急落した。

米当局の主張

米運輸省のイーレン・チャオ長官は、FAAは同型機の欠陥が確認されれば「直ちに適切な措置を講じる」だろうと述べた。

FAAのダン・エルウェル長官は、この通知は「我々の立場を国際社会に知らせ、そして社会全体に1つの答えを与えるものだ」と述べた。

一方で、航空機利用客の権利を主張する団体フライヤーズ・ライツの代表で、FAAの航空規則制定諮問委員会のメンバーを務めるポール・ハドソン氏は11日の声明で、同型機の使用中止を求めた。

「FAAの『成り行きを見守る』姿勢は、米航空業界の安全性における高い評価だけでなく、人命をも危険に晒すことになる」

何があったのか

エチオピア航空302便は、首都アディスアベバの南東60キロにあるビショフツ近郊に墜落した。

これまでのところ今回の事故原因は分っていない。一方で航空会社は、事故機の操縦士から問題が発生したためアディスアベバに引き返したいとの報告があったと明かした。

調査官は、操縦室のボイスレコーダーと飛行データ記録装置を発見しているが、内容が公表されるまでには時間がかかるだろう。

当時の視界は良好だったとされるが、飛行機の位置をリアルタイム表示するサイト「フライトレーダー24」はツイッターで、当該機の「離陸後の垂直速度は不安定だった」としている。

事故機の操縦士はヤレド・ゲタチュウ氏で、エチオピア航空によると総飛行時間が8000時間を越える「立派な実績」があったという。

事故機の飛行経路の真下で農作業をしていた複数の目撃者はロイター通信に対し、機体から大きなガタガタという音が聞こえたと証言した。

目撃者の1人は「ホバリング(空中停止)中に、機体後方から炎が出ていた。それから、機首を持ち上げようとしていた」と述べた。

「私たちの家の上を通り過ぎる時に、機首は下を向いて尾翼が上を向いた状態だった。そのまま地面にまっすぐ落ちて爆発した」

別の目撃者はBBCに対し、「飛行機が墜落すると、激しい炎が上がった。炎の勢いが強くて近づけなかった。全て焼け落ちてしまった」と述べた。

事故機、ボーイング737マックス8型とは

ボーイング737マックスは、2017年に商用利用が開始された比較的新しい機体だ。8型は同シリーズの中で最も新しい。ボーイング社は今年1月末時点で、合計5011件の発注のうち、350機を納入済み。

エチオピア航空は路線拡大のために同型機を30機発注しており、墜落したのはその内の1機だった。事故機は昨年11月15日に導入されたもので、今年2月4日に「厳格な最初の整備」を実施したばかりという。

ボーイング社は墜落を受けて「深く悲しんでいる」とし、技術援助を提供するためのチームを派遣したことを明らかにした。

同型機をめぐっては、昨年10月にライオン航空機がインドネシア沖に墜落し、189人が犠牲になっている。

ライオン航空機事故の調査官は、ライオン航空機の操縦士が、機体の失速を防ぐために設計された自動システムの扱いに苦戦していた可能性を指摘した。操縦士が調整を試みても、ボーイング737マックス型の新機能の失速防止システムは、繰り返し機首を強制的に下げさせるという。

今回のエチオピア航空機と同様に、ライオン航空の同型機も導入されたばかりで、離陸直後に墜落した。今回、エチオピア航空機が同様の問題に見舞われたのかは分かっていない。

昨年10月のライオン航空機墜落を受けて、ボーイング社は航空会社に対し、失速防止システムに問題があることを警告する緊急通知を送付した。

ロイター通信によると、ボーイング社はこの問題に対処するために、ソフトウェアの修正プログラムをリリースするとみられる。

30カ国以上から犠牲者

事故機には30カ国以上の人が搭乗しており、ケニア人32人、カナダ人18人、エチオピア人9人、イギリス人9人(うち2人は二重国籍)、イタリア人8人、中国人8人、アメリカ人8人、フランス人7人、エジプト人6人、ドイツ人5人、インド人4人、スロヴァキア人4人が含まれるという。

また国連によると、犠牲者のうち少なくとも21人は11日から始まる第4回国連環境総会に参加する予定だった。

国連ジュネーブ事務局のミケル・モラー事務局長は11日、総会で「我々が経験した惨事の中でも最大級の物だ」と述べた。

今後の調査

事故調査はエチオピア当局が指揮のもと、ボーイング社と米国家運輸安全委員会の専門家チームも加わって進められる。

事故を受けてエチオピア航空は、「追加の安全措置」について「更なる通知があるまで」、すべてのボーイング737マックス8型の使用を中止すると発表した。10日の墜落事故後、初めてのアディスアベバ発ケニア・ナイロビ行きの便には別の機体が使われた。

(英語記事 Boeing 737 Max 8 is airworthy, US says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47521301

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