2024年4月19日(金)

From LA

2019年3月15日

ボーリング社にとっても渡りに船

 トンネル計画はまだ詳細が明らかにされていないものの、主要コンベンションセンターの入り口付近をダイレクトに繋ぐもので、トンネル内の乗り物としては最大16人乗りのシャトルの他、テスラのモデルXやモデル3が投入される可能性もあるという。

 またこのトンネルによる移動はコンベンションの参加者が無料で利用できるものとして想定されている。つまりはラスベガスにとってドル箱であるコンベンションをさらに呼び込み、利用者の便宜を図るための市としてのインセンティブとなる。

 ボーリング社にとってもラスベガスの計画は渡りに船である。まず、トンネルが走行するのはホテル、カジノ、コンベンションセンターが集まるストリップ地域であり、住民の反対運動は起こり得ない。そしてラスベガス市がこうした移動手段を真剣に求めている。またラスベガスを擁するネバダ州はイノベーションの受け皿としても非常に積極的で、自動運転の市街地走行を最初に認可したのも同州だ。マスク氏が発案したハイパーループも、最初のテストトラックが作られたのは北ラスベガス市である。

 もしコンベンションセンター間のトンネル事業が成功すれば、ラスベガスでは路線を延長してカジノ街の中心と空港を結ぶトンネルにも興味を寄せている。

 2021年1月といえばあと2年もないが、最初にマスク氏が「ロサンゼルスの交通渋滞のために何かしなければならないと考えている」とツイッターでつぶやいてからボーリング社の設立、そしてロサンゼルスでのテストトンネルのお披露目までにかかった時間は2年。このスピードならばラスベガスが求める期限内の開通は決して不可能ではない。

 2年後のCESではこのトンネルが最も大きな話題となっているかもしれない。そしてトンネルを使っての移動を経験した人々が地元にも同じシステムを、と考える可能性もあり、ボーリング社にとっては大きな飛躍のきっかけとなるだろう。

  
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