前向きに読み解く経済の裏側

2019年3月18日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

優待が得なのは、企業側にメリットがあるから

 こうして筆者は株主優待を大いにエンジョイしているわけですが、企業が株主に株主優待を大盤振る舞いするのは、合理的な理由があるのです。

 まず、筆者が無料券で3000円の食事をしても、おそらく材料費は1000円程度でしょうから、企業としては2000円の配当をするより3000円の食事券を株主優待として提供した方が安上がりなのでしょう。

 しかも、個人株主にとって、配当は課税対象ですが、株主優待は課税されないので、有難く思ってもらえる、という点も企業のメリットと言えるでしょう。

 ちなみに筆者は某航空会社の株主でもあり、年に何回か株主優待で半額で搭乗することができるのですが、これなどは同社にとっては筆者が搭乗することのコストがゼロですから、配当をするより効率的です。しかもそれでライバルから客が奪って来れて運賃の半額が得られれば大満足ですね。

 たまたま筆者が混雑のピークに来店または搭乗して、現金客を押しのけてしまうと企業は損になりますので、企業によっては「ランチタイムやピーク時は使えません」といった扱いもしているようですが。

 個人投資家に気に入ってもらって安定株主になってもらえれば、企業としては安心です。そのための株主優待なら、安いものです。

 しかし、実はさらに大きなメリットがありそうです。それは、店のフアンを増やすことです。筆者が友人を誘ってA社で食事をすれば、友人がA社のフアンになるかもしれません。あるいは2割引のメリットを生かそうと宴会を開けば、多くの参加者がA社のフアンになるかもしれません。

 消費財のメーカーだと、株主優待として新製品の詰め合わせを送ってくる場合も多いようです。これなどは、街頭で新商品のサンプルを無料配布しているのと同じことですよね(笑)。

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