BBC News

2019年3月15日

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英産業連盟(CBI)は14日、下院が欧州連合(EU)にブレグジット(イギリスのEU離脱)の延期を要請すると決めたことについて、離脱延期は「刑の執行延期」に過ぎないかもしれないと警告した。

イギリスの業界団体は延期可決にかすかな望みを見出しているが、イギリスはなおEUとの合意のないまま離脱する可能性があると指摘している。

英商工会議所(BCC)は、今回の採決でも「企業は将来の見通しが立たないままだ」と批判している。

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英ポンドはこの採決の直後、対ドルで0.3セント下落した。13日に合意なし離脱が否決された後には、対ドルで過去9カ月、対ユーロで過去2年でそれぞれ最高値を記録していた。


対米ドルのポンド相場


英下院は今週、ブレグジットの行方を決める重大な採決を相次いで行った。12日にはメイ首相がEUと再交渉した離脱協定がまたしても大差で否決された。続く13日には合意なしブレグジットの是非が問われたが、これも否決された。

14日の延期可決を受けてメイ首相は今後、離脱通告のために発動したEU基本条約(リスボン条約)第50条の延長をEUに要請する。EU全27カ国が承認すれば、イギリスの離脱は3月29日以降に延期される。

その前にメイ首相はあらためて、離脱協定の承認を下院に求める。3度目となるこの採決で下院が協定を承認しなければ、ブレグジットの延期は3カ月以上に及ぶと警告している。

「予断を許さない状況」

しかし産業界は、一連のブレグジットの動きになお懐疑的だ。

CBIのジョシュ・ハーディー副事務局長は、「うんざりするような数日を経て、議会が合意なしブレグジットを否決し期間延長を求めたことで、政界にもまだそれなりに良識があるのが分かった。しかし、斬新なアプローチがない限り、企業はこれがただ刑の執行延期に過ぎないと恐れている」と述べた。

英国小売協会(BRC)のヘレン・ディッキンソン会長も、「イギリスはぎりぎりの瀬戸際に立たされている。議会はこの不透明な状況を終らせなくてはならない」と強調した。

「向こう6日間で議員から決定的な動きが出なければ、イギリスは3月29日に合意のないままEUからガラガラガッシャンと飛び出すことになる」

ブレグジットによる先行き不透明感は、イギリス経済にさまざまな影響を及ぼしている。

昨年は後半にかけて小売支出が大きく減った。一方、製造業の支出増は、合意なしブレグジットによる混乱リスクを心配する企業が生産を前倒ししたためだと見られている。

企業投資もこの不透明感の打撃を受けており、国家統計局が12月に発表した統計でも投資の鈍化が見受けられる。

政府統計によるとイギリスの企業投資は3四半期連続して前年同期比で縮小しており、これは2008~2009年の経済危機以降で初めてのことだという。

中銀のイングランド銀行は下落の原因が「主にブレグジットにまつわる懸念による不透明感の拡大」にあると指摘している。

議会でブレグジットに進展がないことに、産業界はへきえきとしてしまっている

BCCのアダム・マーシャル会頭は、「議会が前進方法について合意できずにいる間、またしても経済界は待ちぼうけだ。企業は議会への信頼を失いつつある」と話した。

「こうしている間にも、企業は緊急対応計画を進めている。多くの企業で不安が拡大し、顧客を失っている」

「企業も、雇用も、投資も、我々のコミュニティーも、いまだに紛れもなく、危険地帯にいる」

シティ・オブ・ロンドン自治体の政策・資源委員会のキャサリン・マクギネス委員長は、「時間は迫っている。これ以上遅れれば、家庭も企業も(2016年の)国民投票以来続く景気のひどい不透明感から脱出できないままだ」と批判した。

テクノロジー企業の業界団体テックUKも、「大混乱のうちにEUから離脱するまであと数日しかない」と懸念を表明した。

(英語記事 Brexit delay 'only a stay of execution'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47578753

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