2024年4月23日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2011年11月9日

「社会主義核心価値」の行方は?

 国際的要因としては、昨年末以来の「アラブの春」やリビアの内戦が背中を押したと考えられるが、それだけではなく、国内政治要因も当然影響していよう。政権交代期につきものの権力闘争や影響力の確保が影響していると想定するならば、今回はいわゆる保守派、左派のイデオロギー・宣伝部門が主役の議題設定になっている。一つの見方は、胡錦濤総書記がイデオロギー左派の跳躍を抑制するために手(先制攻撃ないし妥協策)を打った、という見方が成り立つ。もう一つは、別に左派に配慮したわけではなく、胡錦濤本人の志向を反映したもの、という見方もあり得よう。

 それらいずれにせよ、次期政権との関係においては、2020年までの奮闘目標ということは、次期政権が10年続いたとしてその末期であり、次期政権を末期まで拘束することになる。その一方で、「奮闘」目標であるから、必ずしも達成できなくてもかまわない、という抜け道も用意されている。はたして、2020年に「社会主義核心価値」という言葉はとうに死語になっているのか、それとも胡錦濤理論として讃えられるに至っているだろうか。今から結果が気になるところである。

◆本連載について
めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリスト や研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。
◆執筆者
富坂聰氏、石平氏、有本香氏(以上3名はジャーナリスト)
城山英巳氏(時事通信中国総局記者)、平野聡氏(東京大学准教授)
森保裕氏(共同通信論説委員兼編集委員)、岡本隆司氏(京都府立大学准教授)
三宅康之氏(関西学院大学教授)、阿古智子氏(早稲田大学准教授)
◆更新 : 毎週月曜、水曜

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