Wedge REPORT

2019年3月18日

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〝イチロースタイル〟

 これまでもイチローは、どこかビッグマウスで何となく自分に酔った発言も幾度となく口にし続けてきた。そういう大衆に迎合せず媚びない独特なスタイルが多くのファンを引き寄せ、また共感も呼んでいた。だが悲しいかな結果が出なければ、世の中はそれまで〝尖がっていてカッコいい〟と憧れていたはずのロールモデルにも手のひら返しでケチをつけたくなる。それが、まさに今現在のイチローに対する逆風につながっていると推察できる。

 この日、3打数無安打に倒れたのだから対峙した巨人投手陣を素直に誉めて脱帽すればいいだけの話じゃないか。おそらく、そう思っている人も多数いるに違いない。でも仮にそれをやってしまったら、イチローはもうイチローでなくなる。つまりは、その瞬間こそが自分自身で引退を決断するタイミングになる。

 ただし現実的に見て、イチローの現役続行は非常に厳しいと言わざるを得ない。日本での開幕戦以降、米国に戻ってからのロースター25人枠に入ることは米メディアの間で絶望視されている。それでも昔から「究極の天邪鬼」とも言うべきイチローはいい意味で予想を覆し、何度も逆境から這い上がってきた。今回も当然、信じられないような奇跡の復活を願いたいが、米19年目の今年で46歳を迎えるプレーヤーにとってはさすがに至難の業だろう。

 それでも今のイチローの心中に辞めるシナリオはまだ描かれていないようだ。最後の最後まで諦めず、自分らしさを徹底的に貫く。そして、いい意味で予想を裏切る。それがイチローの生き方であり美学だ。だからこそ、このような「球遅いっしょ」発言で大きな誤解を招き、自らの株を下げてしまうとしたら、それはとても残念なことである。

 バッシングなど気にせず言動もプレーもこれまで通りの〝イチロースタイル〟を保ち続けながらラストスパートをかけ、我々をもう一度驚かせて欲しい。

  
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