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2019年3月19日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは、「ベト・オルーク候補の挑戦」です。昨年の米中間選挙における南部テキサス州上院選で、共和党現職議員で前回の大統領候補であったテッド・クルーズ氏を苦しめたべト・オルーク元下院議員がネットを通じて、2020年米大統領選挙出馬を宣言しました。来年2月3日に予定されている中西部アイオワ州での党員集会に備えるために、同州で選挙活動を開始しました。

 14人(3月17日現在)の民主党候補が大統領指名争いに名乗りを上げていますが、なかでもオルーク元下院議員は注目度が高い候補です。仮にジョー・バイデン前副大統領が出馬を表明すれば、民主党の有力候補は同前副大統領とオルーク氏の穏健派及びバーニー・サンダース上院議員(無所属・東部バーモント州)、カマーラ・ハリス上院議員(西部カリフォルニア州)、エリザベス・ウォーレン上院議員(東部マサチューセッツ州)の左派に分類できます。

 今後、「オルーク旋風」並びに「オルーク現象」が起きるのか、本稿ではオルーク候補の強さと課題に焦点を当てて述べます。

3月16日、大統領選挙の候補者選びが最初に行われるアイオワ州を訪問して演説するオルーク氏(REUTERS/AFLO)

オルークのスタイル

 オルーク元下院議員は46歳で、南部テキサス州エルパソが選挙地盤です。12年に下院議員に初当選し、3期6年務めました。言語は英語に加え、スペイン語を話します。父親は郡判事で、母親は家具店を所有していました。オルーク候補の妻は資産家の娘です。

 エルパソ出身ですが、南部バージニア州にある男性だけの全寮制の高校を卒業し、コロンビア大学に進学しました。その後、エルパソに戻り、インターネットの会社を立ち上げています。

 オルーク候補が選挙においてデジタル戦略を重視する理由は、自身の職歴と関係があるのでしょう。たとえば、オルーク候補は深夜にハンバーガーを食べに行ったり、スケートボートを楽しむ様子をライブ配信しています。これらの映像は同候補の支持基盤である若者の心をとらえていることは確かです。

 民主党候補指名争いでは、オルーク候補はミレニアム世代(1989-1995年生まれの世代)をサンダース上院議員と奪い合うことになります。

 ロックバンドのメンバーで、しかも過激な言葉で社会に対する不満や怒りをぶちまける「パンクロック」が好きなオルーク候補は、リズムに乗りながら、特徴のある大きな身振り手振りで熱く語ります。恐らくこの演説スタイルが、特に若者に受けるのでしょう。

 オルーク候補のスタイルを一言で言えば、「カジュアル」になります。

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