2024年4月24日(水)

佐藤忠男の映画人国記

2011年11月21日

 黒土三男(くろつちみつお)は熊本市生まれ。脚本家としての仕事が多いが監督もした「蝉しぐれ」(2005年)は端正な本格的時代劇だった。

 かつて日本で映画が作られる場所といえば東京と京都とその近辺に限られていたものであるが、近年、たんにロケ地として撮られるだけでなく、地方に本拠をおいて、その地元の人々の自主的な活動として作られる映画が目立つようになった。

 私の知る範囲では1970年に熊本で、地元出身の中山節夫監督が同じく地元出身の俳優笠智衆をはじめ、地元有志の支援を得て作った「あつい壁」あたりから始まっている。この映画はハンセン病差別の問題を扱っている点でも先駆的な作品であった。熊本でハンセン病問題の裁判の画期的な判決が出てから地元で再評価され、再上映されている。

 中山節夫監督は1999年には阿蘇山の過疎の村の学校を描いた佳作「原野の子ら」を作っているが、これも地元の支援による映画である。 (次回は島根県)
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