前向きに読み解く経済の裏側

2019年3月25日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 今回は、久留米大学商学部教授の塚崎公義が、大学を卒業する学生に贈った「べからず集メッセージ」を御紹介します。若手のサラリーマンにも読んでいただければ幸いです。

(gyro/Gettyimages)

雛が飛び立てば辛いことも多い

 卒業おめでとう。と言った後の言葉が難しい。高校の卒業式や大学の入学式では、「これから自由な時間がたくさんあって、大学は楽しい所だ」という明るい話ができるのだが、大学の卒業式はそうではない。「これまで自由な時間がたくさんあって楽しかっただろうが、これからは違う」という話をしなければならないので、話す方も辛いのだ(笑)。

 しかし、物は考えようだ。君たちは、これまで「親や社会に育ててもらっている子供」だったのが、晴れて大人の一員となったわけだ。巣の中で親鳥からエサをもらっていたヒナが、自分でエサが獲れるようになったのだ。これからは、巣から飛び立って自分でエサを獲るのだ。これは素晴らしいことだ。

 もちろん、巣の中で待っているヒナと比べれば、苦労も危険も多いが、それが一人前になるということだ。しっかり大人としての仕事を頑張って欲しい。

辞める前に次の仕事を確保せよ

 仕事は辛い。当然のことだ。職場が遊園地のように楽しかったら、給料をもらう代わりに入場料を払わなくてはいけないはずだから。仕事自体が大変だということもあろうが、社会人が辛いのは、上司や顧客が選べないということだ。

 学生時代のアルバイトも、金をもらって働く以上は辛かったはずだが、アルバイトは、嫌なら辞めれば良いだけだ。特に今は景気が良いので、次のアルバイトが簡単に見つかるので、辞めないで我慢をする理由がない。

 しかし、正社員は違う。辞めてしまえば、せっかく辛い就職活動の結果として得られた仕事を失ってしまうのだ。それだけではない。日本の会社は履歴書に空白期間がある人物を採用したがらないのだ。他の会社で働いている正社員が転職しようと思えば採用してくれるかもしれないが、失業者あるいは非正規労働者(アルバイトなど、正社員でない人)が就職しようとしても、採用される可能性は低いのである。

 そこで、是非覚えておいて欲しいのは、「辞表を出す前に次の仕事を確保しろ」、ということだ。入社した先がブラック企業であったり、上司にパワハラされたり、様々な理由で辞めたいと思うことがあるだろう。多少の事は我慢すべきだが、そうは言っても我慢できないこともあろう。そういう時には、辞めて転職するのも選択肢の一つだが、その際に絶対に覚えておいて欲しいのが、次の仕事の確保である。

 上司と大喧嘩をしても、決して口にしてはいけないのが「こんな会社、辞めてやる」である。その言葉は飲み込んで、転職活動をしよう。「次の職場が見つかりさえすれば、嫌な上司に辞表を叩きつけてやれるのだ」と思えば、転職活動にも熱が入るだろう(笑)。

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