この熱き人々

2019年4月25日

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吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

◉じょーじ:1988年、静岡県生まれ。本名は富田亮平。中学時代に初めてディアボロを体験し、その面白さに目覚める。製造技術者の仕事を経て、2011年にプロの大道芸パフォーマーに。静岡県内を中心にストリートやイベントなどで演技を披露、ジャグリング教室の講師も務める。
 
 

 夕陽が沈み、イルミネーションが点灯された御殿場高原の総合レジャー施設・時之栖(ときのすみか)。家族連れの姿が目立つ休日のイベントスペースでは、細長い何色もの風船を器用にねじりながらワイヤレスマイクで通り過ぎる人々に呼びかける若い大道芸パフォーマーがひとり。プロとして静岡を中心に活動しているジョー次である。たまたまその場を通りかかっただけの人の足を止めることができるか。ジョー次の勝負はすでに始まっている。

 ステージの前に並べられた20脚ほどの椅子には、まだ誰も座っていない。少しだけ足を止めたカップルがそのまま通り過ぎていく。風船に興味を持った子供が立ち止まると、両親も一緒に足を止める。子供が子供を呼び、何人かの子供たちがステージの近くに寄ってきて風船が何に変わるのか、目を凝らす。1組の家族連れがやっと真ん中の席に座り、用意された席がジワジワと埋まった頃、風船は人気ゲームのキャラクターになり、集まった人たちから「おおーっ」と声が上がる。その声につられて椅子の周辺にも立ち見の人たちが集まってきて、いよいよパフォーマンスが始まる。

 ジョー次は、お碗の糸尻を2つ繋げたようなディアボロ(空中ゴマ)の芸を中心に活動しているが、最初は複数のボールを投げるボールジャグリング。馴染みのあるボール芸で客の気持ちを掴んで、いよいよディアボロ芸に。たったひとりだから、「音楽スタート」と自分で言って、自分で音楽をスタートさせ、自分の芸を自分で解説しながらのパフォーマンス。マイクを通した激しい息遣いから、技の難度が伝わる。

 

 5階建ての建物ほどの高さに投げ上げられたディアボロを、糸1本でキャッチする。うまくキャッチできないと、客席から「あーっ」とため息が出る。それを話術でカバーし、人々の足を繋ぎ止めながら芸を続ける。そして、最後の最後にさりげなく生活がかかった投げ銭のお願い。そのまま立ち去ることも客の自由、いくら投げ入れるかも客の自由。ステージの上にポツンと置かれた帽子は、この道一本で生きるプロの厳しさを物語っているかのようだ。

 本名は富田亮平。1988年に静岡市で生まれ、今年で31歳になる。最初は本名で仕事をしていたが、覚えられにくいのでジョー次と名乗ることにしたのだという。ジョージではなく、なぜかジョー次。

 「ネットで検索する時、ジョージではヒットしませんが、ジョー次ならすぐに出てきますから」

 確かに、ジョージでは飲食店や子ザルが主人公のアニメや絵本のサイトが出てくるが、ジョー次で検索するとすぐさま彼のホームページが出てくる。

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