この熱き人々

2019年4月25日

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吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

 

 「曲に合わせてコマを操るわけだけど、回転してキャッチする時や音楽に合わせた動作が美しいほうが見ている人には凄いと感じてもらえると思って。いろいろなダンスも根本はクラシックバレエだと聞いたので、基礎から始めています。最近、動きがきれいになったと言われるようになりました。15年の動画と18年の動画で自分の動きを比べてみたら、やっぱり全然違っていました」

 伸ばした手の先、身体の線、スピンの滑らかさは確かに美しく、この日のステージでも「きれいねえ」という声が上がっていた。

 現在は、イベントへの出演依頼などオファーを受けて出演料が保証される仕事のほか、富士市の「天間(てんま)まちづくりセンター」のジャグリング教室で小学生から70代までの幅広い年齢層の人々にジャグリングを教えるなど活動は広がり、生活できる収入は得られるようになったそうだが、やはりメインは投げ銭の大道芸。

 この日も、場所は使用できるけれどギャラはなし。投げ銭が収入のすべてである。技に驚き、美しい動きに感動した時、人は自然と称賛の気持ちを表したくなるのだろう。ほとんどの客が、帽子にそれぞれの思いを納めてから立ち去っていった。誰もいなくなった広場で、ひとり黙々と機材や道具の片付けをするジョー次の姿は、どこか深い孤独の中で、客との密かな勝負に賭ける醍醐味と喜びが複雑に絡み合っているように見えた。  

南谷真鈴(みなみやまりん)。21歳。早稲田大学政治経済学部2年。ウエービーなロングヘアにコーラルピンクのウインドブレーカーのスポーティーな装いが、都心の公園の緑に華やかに映える。この若い女性が、日本人最年少の19歳でエベレスト登頂に成功し、その2カ月後に日本人最年少、女性では世界最年少で7大陸最高峰登頂も達成、さらに南極点、北極点到達を加えた探険家グランドスラムを世界最年少の20歳で達成したと聞いたら、道行く人はどんな反応を示すのだろうか……。偉業を知っていてさえ、記録達成までの過酷さと目の前の都会的な雰囲気の漂う女子大生の間の落差を乗り越えないと、南谷真鈴の像が結べないよ

石塚定人=写真

  
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◆「ひととき」2019年4月号より

 

 

 

 

 

 

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