2024年4月26日(金)

WEDGE REPORT

2019年3月28日

海外の再開発に重点投資

マンハッタンの地図(BonneChance/Gettyimages) 写真を拡大

 三井不動産と東急不動産の両社は、将来を見据えて採算が取れる海外の再開発事業に積極的に参加している。三井不動産は昨年5月に発表した将来見通しの「VISION 2025」の中で、25年までに投資する3兆円のうち半分を米国を含めた海外の開発事業に振り向ける方針で、30%を海外事業利益にしたいとしており、海外志向が一段と強まる。

 今回行われている再開発投資は、マンハッタン地区は容積率の規制が長らく続いていたため、新築ビルの供給が極端に少ない状態が続いていた中での再開発のため、「ハドソンヤード」のオフィビルはほかの地区と比べて割高な賃貸収入が期待できるようで、安定的に高い利回りが見込めるという。

 日本の不動産会社は日本経済のバブル期だった1989年ごろに、三菱地所がロックフラーセンターを買収するなどマンハッタンのビルをいくつも買い漁り、最終的には高値つかみして売却損を出した苦い教訓がある。今回は開発プロジェクトへの投資で、同じ過ちは繰り返してほしくないものだ。

家賃高騰が引き金

 ニューヨークのマンハッタンでは過去10年間で、ミッドタウンの南部、特にチェルシー、ソーホーといった地区にスタートアップ企業が多く集まり、シリコンバレーに近い存在感を発揮していた。だが、急成長したグーグルなどがミッドタウン南部に巨大なオフィスを建てたことで、周辺の家賃が急騰して、零細な新興企業はオフィスを構えられなくなった。

倉庫を回収して作られたブルックリンのレストラン

 そこで彼らが代替地として選んだのが、マンハッタンの外に位置するブルックリンやクイーンズ地区だ。マンハッタンから地下鉄で15分程度でつながっており、工場跡地や倉庫だった場所だ。5年ほど前から再開発が進んだのがクイーンズのロングアイランドシティだ。ここにアマゾンが第2本社を作る計画を発表したため、今年に入って周辺の家賃単価が急激に上がったことなどから周辺住民の反対などがあり、アマゾンは結局、2月になってここに第2本社を作ることを断念した。


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