中年留学日記

2011年11月15日

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 米国で生活していて気づくことの一つは保険会社と薬のテレビコマーシャルがやたらと多いことである。保険会社は自動車保険を中心に多くの会社がCMを延々と流しているほか、薬品もアレルギー薬からアルツハイマー病の薬までさまざまな品目を扱っている。公共交通機関を見てもバスの側面に掲げられている広告の多くは薬の宣伝だ。

 米国では医療費が非常に高額のため、個人で高額な医療保険に入らないといけないが、所得水準によっては入れない人も多く、無保険の人がかなりの割合でいる。このためスーパーやコンビニ形式の店ではあらゆる種類の薬を安く売っており、軽い症状なら医師に通わずに治すという文化になっている。それゆえに、薬品メーカー側は市販薬の販売に力が入るという事情のようだ。また、米国では簡単な医療行為を、医師ではなく特別な訓練を受けた看護師(ナースプラクティショナー=NP)が行うことが多い。

医師不要 看護婦が行う予防接種

 日本では医師が問診をし、その指示のもと看護師が予防接種を行う場合もあるが、米国では注射程度であれば、NPが健康状態や当日の体調などを聞いたうえで注射を打つ。先日筆者もハーバードの保健室(メディカルオフィス)で、NPにインフルエンザの予防接種を打ってもらった。痛みを感じることも無く、注射の腕前も非常によかった。同僚の中にはスーパーなどに併設されている薬局でNPに予防注射を打ってもらった人もいる。病院よりも安い価格で注射を打つことができたそうで、日本との違いに驚かされる。

 日本でも今盛んに議論されているNPだが、米国では1965年にNPが導入され、現在は全米で15万人以上いる。個人の健康をチェックしたり、履歴をとったり、簡単な診断をしたり、予防接種を行う。予防医学に重点をおいて、病気にならないようにする役回りが期待されている。看護師資格を持っていることが最低条件で、細かくは州ごとにそれぞれ基準があるようだ。個人的には、しっかりした教育と訓練を積んだNPが医療現場で活躍するのであれば、医師と効率的に業務分担を図ることができるので非常によい制度ではないかと思う。

 米国ではそもそも医師にかかるにも、まず家庭医となるドクターを探すことから始まる。自分も妻も病気をした訳ではないが、家庭医になってもらえそうなドクターが近所のクリニックにいたため、事前に手続きに行ってみた。

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