BBC News

2019年4月2日

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英下院(定数650)は1日夜、議員提出のブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)代替案4案について「示唆的投票」を行ったが、今回も全て否決された。離脱期限日は4月12日。一方、EUのミシェル・バルニエ首席交渉官は2日朝の記者会見で、イギリスが合意なし離脱を回避する余地はまだあるが、EU側の準備は整ったと述べた。

下院は、イギリスが欧州連合(EU)を離脱しつつも単一市場に残るノルウェー方式や、EUとの関税同盟、国民の意向を確認する2度目の国民投票などの議員案を検討したが、いずれも否決された。

下院は離脱予定日だった3月29日、テリーザ・メイ英首相がEUとまとめた離脱協定をまたしても否決。3度目の敗北を喫した首相は、EUが認めた離脱期日の延長条件に従い、4月12日までにEUに延長の追加を要請するか、合意なしでこのまま4月12日に離脱するか、これまでと別の方向を決断しなくてはならない。

メイ首相は現地時間の2日午前、5時間にわたってに閣議を開き、進み方を協議する方針だ。

こうした中、EUのバルニエ首席交渉官は2日朝、イギリスが合意のないままEUを離脱する可能性が高まっているが、まだ回避する余地はあると指摘した。

バルニエ氏はブリュッセルで開いた記者会見で、イギリスが離脱するための協定再交渉は行わないと従来の主張を繰り返した。さらに、4月12日以降にブレグジットがずれこめば「EUは大きなリスクを負うことになる」と述べ、離脱期限をさらに延期することにEUが同意する可能性はあるが、そのためには「強固な正当性が必要になる」と話した。

また、「合意なし離脱は我々が望んだものでも、意図したシナリオでもないが、加盟27カ国の準備は整った。日を追うごとに、その可能性が高まっている」と指摘した。

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「譲歩しない」与党を批判し離党

示唆的投票は、ブレグジットについて下院の妥協点を探るためのもので、議員が提出する複数の案について採決を重ねている。その結果は政府を法的に拘束するものではないため、いずれかが可決されたとしても政府が実施する確証はなかった。

1日の投票で最も僅差で否決された議員案は、EUとの関税同盟を含むもので、3票差の僅差で敗れた。

また、最も多く賛成票を得た議員案は、ブレグジットについて国民の「意志を確認」するため再び国民投票を実施するというもので、計280票を集めたが、12票差で敗れた。

与党・保守党のニック・ボールズ院内幹事が提出した、EUを離脱しつつも単一市場に残るという「共同市場2.0」と呼ばれる案は、反対292、賛成280で否決された。

この結果を受けてボールズ議員は、「妥協を求めて最善を尽くしてきた」ものの「失敗したと認める」と述べ、それは主に保守党が合意形成のため譲歩しようとしないからだと発言。「これ以上はこの党の一員として議席に着くことはできない」と声を揺らしながら表明し、野党側に席を移った。「ニック、行くな」と呼び止める声が上がる一方、拍手もあった。

ボールズ議員はその後、ツイッターで「無所属の革新保守」として下院にとどまる方針を明らかにした。

総選挙の可能性は

スティーヴン・バークリーEU離脱相は、「イギリスがわずか11日後にEUを離脱する」というのが法的な現状だと強調し、合意に沿った離脱方法を探ることが、イギリスに残された「唯一の選択肢」だと述べた。

「これを速やかに実施することが、最善の対応だと、政府は引き続き考えている」、「今週中に下院が合意できれば、欧州議会選挙に参加する事態はまだ避けられるかもしれない」とバークリー氏は呼びかけた。

最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、代替案がいずれも可決されなかったのは「残念」だが、首相の協定は「圧倒的に否決された」ことをあらためて強調した。

「首相が自分の協定を3度も通そうとして良いなら、下院も、提出されている選択肢をもう一度、検討できるのではないか(中略)首相が失敗したことについて、下院が成功できるように。つまり、合意なしで強引に離脱する事態を阻止し、欧州とまともな経済関係を提示するということだ」とコービン氏は述べた。

一方、総選挙の可能性も取りざたされているが、ボリス・ジョンソン前外相はBBCのローラ・クンスバーグ政治編集長の取材に対し、この選択肢は有権者を「怒らせる」だろうと語った。

その代わり、首相が交代し「交渉戦術を変える」ことで、メイ首相の「ひどい」離脱協定を「改良」できるかもしれないと述べた。

(英語記事 Brexit votes: MPs fail to back proposals again / No-deal Brexit can still be avoided - Barnier

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47781503

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