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2019年4月4日

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イギリスのテリーザ・メイ首相は3日、最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首と新しい欧州連合(EU)離脱計画をまとめるための協議を行った。協議は「建設的」だったとされているが、コービン党首は「結論は出なかった」と述べた。

イギリスは現在、離脱条件をまとめた協定の可否を問わず、4月12日にEUを離脱することになっている。

メイ首相は「できるだけ短い」追加の延長をEUに求めるため、労働党の協力を得て新しい離脱計画をまとめ、4月10日までに下院採決にかけたい考え。10日にはブレグジット(イギリスのEU離脱)について欧州理事会の緊急首脳会議が予定されている。

こうした中イギリス下院(定数650)は3日、メイ首相にEUからの離脱プロセスを延期するようEUに要請することを義務付ける法案を、313対312の1票差で可決した。

最大野党・労働党のイヴェット・クーパー議員が提出したこの法案は合意なしブレグジットを避けるためのもので、わずか1日で下院を通過した。

これに対し政府は、メイ首相が労働党のジェレミー・コービン党首との協議を進めている中での法案可決は「残念だ」と述べている。

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首相官邸の報道官は党首会談について、保守党と労働党は共に「柔軟性」を示し、「この不透明感を終わらせるために(中略)努力した」と話した。

一方、コービン党首は、メイ首相の姿勢は「期待していたほど変わっていなかった」と述べた。

メイ首相とコービン党首は、4日も引き続き協議を進める予定。メイ首相は、両党が合意に至らなかった場合には、自身がEUと取りまとめた協定を含むさまざまなブレグジットの選択肢について採決を行うとしている。

今回の超党的な協議をめぐっては保守党と労働党双方から批判が出ており、3日には2人の閣外担当相が辞任した。

イギリス各紙は、メイ首相がこれ以上これまでの方針から逸脱するようであれば、閣僚を含む最大15人の政府関係者が辞任する可能性があると報じている。

わずか1日で下院を通過

クーパー議員の法案には労働党をはじめとする野党が賛成し、保守党から14人の造反者が出て313票を獲得。一方、保守党と北アイルランドの民主統一党(DUP)、労働党の造反議員9人などが反対票を投じたが、312票と1票届かなかった。

合意なしの離脱は、企業活動への打撃や海港の混乱を招くと懸念されている。

保守党のEU離脱派議員からは、議員提出の法案がわずか1日で下院を通過したことへのいらだちの声が上がった。

中には、法案の採決を認めたジョン・バーコウ下院議長に対し「バカな真似はやめて」これ以上投票を行わないよう求める議員もいた。

上院は早ければ4日にもこの法案を審議する予定。ただし、EU基本条約(リスボン条約)50条に基づく離脱交渉期間の延長にはEUの承認が必要だ。

政府は声明で、「首相はすでにEUから協定にもとづいて離脱するための明確なプロセスを提示しており、政府もすでにさらなる延長に向けて尽力している」と述べ、法案への懸念を表明した。

「もしこの法案が可決されれば、政府の延長交渉に深刻な制限がかかることになり、4月12日までに新たな離脱日を英国法に示すことが難しくなる」

確認のための国民投票は「現実的な提案」

フィリップ・ハモンド財務相はITVのテレビ番組に出演し、EUはブレグジットの長期的な延長を要求してくるとみていると話した。

また、政府はメイ首相が拒否してきた「一線」を越え、労働党が要求しているEUとの関税同盟締結を認める必要があるかもしれないと述べた。

ハモンド氏によれば、保守党はマニフェストでEUとの関税同盟から離脱することを約束しているが、「何らかの関税協定」は常に将来の関係性の一部として考慮されているという。

さらに、議会を通過した離脱協定を国民投票にかける案について、「多くの人がこれに反対しているし、議会で過半数の支持を得られるかも分からないが、これは完全に現実的な提案で、議会で審議する価値がある」と話した。

国民投票をめぐっては、コービン党首もメイ首相との合意条件に含めるよう、労働党幹部から圧力を掛けられている。

エミリー・ソーンベリー影の外相は、確認のための国民投票を支持しないのは、前回の党大会での決定に「違反する」ものだと話している。

(英語記事 MPs back Brexit delay bill by one vote

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47810277

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