名門校、未来への学び

2019年4月11日

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 東海は名古屋の私学の最高峰。県立優位の愛知で、創立から130年、独特の存在感を放ってきた。主たるOBも今年1月に物故した哲学者の梅原猛、建築家の黒川紀章、フィールズ賞受賞数学者の森重文、人気絶頂の今や司会者である林修、スタジオジブリ社長の鈴木敏文、メルカリ社長の山田進太郎ら多士済々、枚挙に暇もない。  

東海中学・高校

 VOYAGE GROUPの代表取締役社長兼CEOを務める宇佐美進典さんは、中でも最若手の経営トップだろう。

 同社は1999年に創業。クライアントとメディア企業、両サイドに向け広告関連サービスを展開するアドプラットフォーム事業を中心に、幅広いビジネスを手がける。2014年7月には東証マザーズに、15年9月には東証一部に上場。18年11月から電通系のサイバー・コミュニケーションズとの経営統合を発表し、19年1月からは新たにCARTA HOLDINGSも発足し、代表取締役会長を務める。

宇佐美進典さん

 宇佐美さんは19歳にして学生結婚をしたことでも有名だが、IT関連の起業家には珍しい、朗らかで屈託のない人柄。持って生まれた明るさに“磨きをかけた”のが東海だった—と中高時代を振り返る。

 「部活はサッカーでした。ただ、小学校まではバスケをやっていたんで、あまり上手くなかった。僕の代はけっこう強くて、周りは上手い連中ばかり。どうやったら目立てるか、レギュラーを取れるかと考えると、試合中に声を出すしかない(笑)。ポジションはセンターバックで、後にいるから全体が見えやすいんですよ。そこでボールを誰に出せ—とか状況を伝えたり、ともかく盛り上げようと必死になった。楽観的な性格は中高時代に磨かれたと思いますね。自分の存在価値をどう見出だすかってことで。

 東海は小学校では勉強もできる、トップクラスが入ってくる。みんなプライドや自己肯定感が高い。入学した時点ではほぼ同じなんです。ところが、当然成績で振り分けられ、そこに幅が出てくる。でも、高3になっても妙な自信は持ったままなんですね。『やればできる、やらないだけ』みたいな(笑)。大学も自己肯定感ゆえ、自分の実力以上を狙ってこだわる。ほどほどとか、そこそこで落ち着かない。目線を上げてくる。目標が高いんですよ、浪人率もだけど(笑)」

 この自己肯定感が今、教育現場でよく問われる。いわゆる指導困難校でも進学校でも、それは変わらない。志望校より低いレベルの学校に進めば、自ずと自信は揺らぐ。最高ランクの学校に入れても、成績やその他能力によって、いわゆるスクールカーストが生じる。しかし、東海には生徒それぞれが自身の「負けず嫌い」を保てる風土があるのだ。

 1972年生まれの宇佐美さん。他に趣味はといえば、高校時分からパソコンをかじっていた。

 「最初はワープロの書院にモデムをくっつけて、ニフティサーブにつないで、ピーヒョロロロ〜って(笑)。その頃は掲示板など覗き、大人の世界を垣間見るような感じでした。自分は議論には参加できなかったけど、こんな世界があるんだって。パソコンゲームも校内で流行っていて、当時はレンタルソフト屋が千種にあったんです。そこに入り浸って。友達間でもソフトの貸し借りをしましたね。『イース』とか『ハイドライド』なんかのアクションRPG。

 我が家は厳しくて、ファミコンはただのゲーム機だからと買ってもらえなかったんですが、PCなら学習にも役立つ—と親を説得しまして…(笑)。でも、プログラムしてみようと何度か試みても、思い通り動かず、すぐ挫折しました。東海は真面目と遊びの振れ幅が確かに広いと思う。生徒もだけど、先生もですよ(笑)」

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