WEDGE REPORT

2011年11月27日

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 リビアの国民評議会は、2011年11月22日、アブドゥルラヒム・アル・キーブ暫定首相を首班とする内閣(閣僚数は暫定首相を含めて25人。表1参照)を発表し暫定政府を発足させた。当初言われた11月20日には間に合わなかったとはいえ、国土解放宣言時(10月23日)に、1ヶ月以内での暫定政府の樹立と言う約束を遵守した形となった。

(表1)リビア暫定政権の閣僚名簿
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 発表された今回の閣僚の顔ぶれから、(1)解放貢献度重視、(2)地域性配慮、(3)世俗派登用、(4)女性尊重、の4つが特徴がうかがえる。

(1)解放貢献度重視
首都トリポリの解放に至る戦闘で大きな役割を果たし、またカダフィ元大佐の次男セーイフ・イスラム氏の拘束というお手柄を立てた民兵組織の司令官オサマ・ジュワリ氏の国防相への任命や、リビア内戦時にカダフィ軍の猛攻で多くの犠牲者を出した都市ミスラタの民兵組織の司令官ファウジ・アブデラル氏の内相への起用のあたりに、カダフィ政権の打倒に際しての貢献度が重視されたことが読み取れる。

台頭が懸念されるイスラム原理主義

(2)地域性配慮
国防相及び内相の任命では、上述した貢献度重視と共に地域間のバランスに配慮した姿勢もうかがえる。何故ならば、国防相に任命されたジュワリ氏は、首都トリポリ南西部の山岳地帯のジンタン出身者である一方、内相に任命されたアブデラル氏は中部沿岸都市のミスラタの人物だからだ。こうした地域バランスへの配慮は、外相に大方が予想していたイブラヒム・ダッバーシ国連次席代表を避けてまで、東部デルナ出身のアシュール・ビン・ハヤル氏を登用した点からも明らかと言える。

(3)世俗派登用
今回閣僚に任命された24人を見るとリベラルな世俗派が多勢を占めている。例えば、ハッサン・ゼグラム財務相は石油会社の幹部であった人物であり、アブドルラフマン・ベン・イェザ石油・ガス相はイタリアの石油企業ENIの元幹部を務めた経歴を持つ。他方、明確なイスラム主義者と見られる人物は任命されていない。これは、リビア内戦でイスラム主義者の戦闘員が力を発揮した上に、全土解放後の治安維持でも一定の影響力を維持したことや、ジャリール国民評議会議長が新生リビアはイスラム法を基本とすると発言したことなどから、欧米諸国が懸念を表明したのに配慮した結果と推察される。但し、(2)で見たように、外相に、イスラム原理勢力の強い東部デルナの出身者を選ぶなどイスラム派への気配りもうかがわれる。

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