2024年4月19日(金)

前向きに読み解く経済の裏側

2019年4月22日

資金需要の盛り上がりに期待

 ゼロ金利は、当分続きそうです。インフレ率が2%を安定的に超えるまでには、しばらく時間がかかるでしょう。そうだとすると、地銀の決算が好転するためには資金需要が盛り上がる必要があります。

 幸い、労働力不足への対応として企業の省力化投資が盛り上がりつつあります。アルバイトが雇えないなら、皿洗いは自動食器洗い機にやらせるしかない、というわけですね。そうした飲食店が増えれば、自動食器洗い機を買うために銀行に融資を申し込む会社が増えるでしょう。もちろん、飲食店以外の業界でも同様のことが起きるでしょうから、銀行の貸出が増えて、銀行の決算の苦しさが軽減されることを期待しましょう。

高金利商品への投資はリスクが大

 地銀の中には、預金を集めて貸出をするという本業が儲からないので、高利回りの債券などを購入して金利収入を稼ごうとしている所が多いと言われています。しかし、これは危険なことです。

 そもそも高金利商品が高金利なのは、高金利を払わないと誰も買ってくれないほどリスクがある商品だからです。超優良企業の発行する社債が高金利であるはずはありませんから。

 したがって、高金利商品の利息によって決算が黒字になったとしても、それは偶然何も起きなかった幸運によるものであって、来期に何か起きるリスクを抱えているわけです。

 高金利通貨もリスクはありますが、一層怖いのが仕組債でしょう。地方銀行の中にはリスクをよく理解できないまま投資をしている所もあるようですが、心配です。仕組債は、いざ投資家たちが慎重になると、買い注文が一斉に引っ込みますから、「値段が付かない」可能性があるからです。高金利通貨の方が、「安くしか売れないリスク」だけですから、まだマシかもしれません。

 裕福な個人投資家がカジノで遊ぶつもりで余裕資金を投じるならば構いませんが、本業が苦しいから高金利の仕組債を大量に持つということは、何かあった時に取り返しが付かないことになるリスクを抱えかねないということです。ぜひとも慎重な検討を期待したいところです。

  
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