中年留学日記

2011年12月7日

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 米国では11月の第4木曜日(2011年は11月24日)を「Thanksgiving Day(感謝祭)」に定めている。感謝祭は米国の重要な祝日のひとつで、翌金曜日も含めてこの4連休(一部、金曜日が平日の州もある)は秋の大きな休暇シーズンとなる。多くの人々が家族や親戚の元に一堂に会し、食卓を囲んで七面鳥の丸焼きを食べるのが典型的な感謝祭の過ごし方だ。

 「おいしい七面鳥を焼くための電話ホットライン」まで設けられるほどで、七面鳥の調理の仕方が良くわからない人が専用の番号に電話をすると、七面鳥料理に詳しい専門家が親切にアドバイスしてくれるという仕組みだ。七面鳥料理に失敗した家庭の主婦の悲惨な体験談がジョークのネタになるぐらいの国なので、相談したいと思う人も結構いるのだろう。

 日本でいえば夏のお盆の雰囲気に似た感じだが、駅や空港、高速道路は大混雑で、アメリカでも帰省ラッシュみたいなものがあるのだと知ってびっくりした。同時に驚かされるのは、感謝祭翌日の「ブラックフライデー」だ。この日に全米の小売店が一斉に大幅な値下げセールを行うのが恒例で、年末商戦がスタートするが、これがすさまじい。

特売目当てに暴徒化する客

 客寄せのため、高価な商品ほとんどに常識はずれの安値をつける店も多く、たとえば19型の液晶テレビの値段が100ドル(8000円以下)になってしまうなど、特売で消費者の購買意欲は一気に盛り上がる。興奮した客同士が量販店で喧嘩をして多数のけが人が出たり、他の客に催涙スプレーを巻き散らしたりするなどの騒ぎも起き、それらが逐一全米にテレビニュースで放送されていた。

 安売り初日の金曜日に小売店が黒字になることから「ブラックフライデー(黒字の金曜日)」の名前がついたらしいが、今年は日付がかわった深夜の0時から開店するデパートや営業時間を大幅に延長する小売店などが続出。最初の4日間の売り上げは昨年より16%も上回ったという。

感謝祭翌日の「ブラックフライデー」に買物客でにぎわうフィラデルフィアの大手百貨店

 滑り出しは非常によく、年末商戦の盛り上がりとともにアメリカ経済の回復が期待されるところだが、経済の専門家によるとこの勢いがクリスマスまで維持できるかどうかがカギになるそうだ。この期間の「年末商戦」の売り上げが多くの小売店にとって年間売上高の約20%を占めると言われるだけに、あの手この手で消費者の財布のヒモを緩める戦略を立てているのだろう。

 私はこの日、たまたまフィラデルフィアにいて、朝早くから現地の大手デパートを訪れていた。この店も深夜から営業していたせいか、めぼしいものは既に売り切れており、妻もお目当ての靴を買うことができなかった。店内は買い物客が手にしては買わずに放置した商品が雑然と置かれ、店員さんは疲れきった表情で並べなおしていた。まるで初売りの福袋目当てに、大勢の客でごった返す日本の百貨店を彷彿とさせる。

 この週末の買い物に加えて、オンラインストアがにぎわう「サイバーマンデー」という現象も最近はみられる。

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