世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年5月7日

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 本ブログの4月8日付で、「エアバス、港、ボルドー・ワイン、5G、習近平の軍門に下る仏・伊・モナコ」と題して、3月21日~26日の習近平総書記の欧州3か国訪問について記したが、その後すぐ間を開けずに、4月8日~13日、李克強首相が欧州2か国(ベルギーとクロアチア)を訪問した。

 今回の李克強首相の欧州訪問の主な目的は2つあった。1つは、ベルギーの首都ブリュッセルで開催される第21回中国EU首脳会談に臨むこと。もう1つは、アドリア海に面したクロアチアの美しい城壁の街ドブロブニクで第8回中国・東欧首脳会議に出席することである。

(Rawf8/gettyimages)

 4月9日、李首相は、EUのドナルド・タスク大統領とジャン=クロード・ユンケル委員長と会談を行い、EU・中国首脳会談共同声明を発表した。共同声明は、冒頭に、EUと中国は、両者の「包括的戦略的パートナーシップ」を確認する、とあるように、包括的な内容になっている。

 EU・中国関係については、両者は、貿易及び投資における衡平かつ相互利益的な協力を確保する、とした。来年2020年までに投資協定を締結することで合意した。また、双方は、知的財産を保護する国際基準を遵守する重要性を強調し、EU中国エネルギ―協力に関する共同声明が作成されたことを歓迎した。

 グローバルな問題に関しては、WTO(世界貿易機関)の改革、本年大阪で開催されるG20、気候変動等での協力を謳った。

 「一帯一路」にも言及され、それが欧州とアジアを結ぶものとした。外交・安全保障分野では、イラン合意やアフガン、ベネズエラの他、北朝鮮問題にも触れられた。米朝対話を支持し、南北和解を促進しながら、国連安保理決議の完全な履行が重要である、とした。

 4月12日に行われた中国と東欧諸国との首脳会談では、「協力指針」が発表された。

 この中・東欧サミットは2012年から始まり、今回で第8回目を迎えたが、東欧諸国からは16か国が参加した。EU加盟国のポーランド、チェコ、スロヴェキア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマア、クロアチア、スロベニア、リトアニア、ラトビア、エストニアの11か国と非EU加盟国のセルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、北マケドニア、アルバニア、モンテネグロの5か国である。

 いずれも中国とは、「一帯一路」構想に関する覚書を締結している。来年には、ギリシャが加わり、「17+1」として第9回目の中・東欧首脳会議が中国で行われる予定である。

 今回の協力指針では、「一帯一路」の具体化として鉄道・港湾等のインフラ整備を進めること、それらを利用して貿易を拡大すること、イノベーション、デジタル技術、エネルギー等で協力することが確認された。

 中国は、欧州の中でも比較的小国で、経済発展が途上の諸国をターゲットに、自国の影響力を伸長して利益を得ようとする。EU首脳との会談を済ませながら、EU加盟国の一部と非加盟国を一緒に集め、「一帯一路」を中心とした合意を取り付ける。

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