名門校、未来への学び

2019年5月7日

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鈴木隆祐 (すずき・りゅうすけ)

ジャーナリスト

1966年長野県生まれ。法政大学文学部在学中より出版社で雑誌編集を始め、その後フリーに。著書に『名門高校人脈』(光文社新書)、『名門高校 青春グルメ』(辰巳出版)ほか。

京大ではアメフト部に

 水口さんはフジテレビ内で通称「音組」と呼ばれる、制作チームの基礎を成した一員でもあるが、自身が高校時代にハマっていたのはフォークソング、それも吉田拓郎だった。

 「拓郎や陽水をギターコピーして歌ってました。♪人間なんてラララララ〜って(笑)。当時は友達が通っていた影響で教会に通い、いちおう洗礼を受けたキリスト教徒でもあるんですが、高3で教会の日曜学校の先生もしまして、そのランチョンタイムにもギターを爪弾き、讃美歌や余興で拓郎も歌いましたね。

 さらに学校帰りに夕刊配達のバイトや塾にも通っていたし、水曜土曜の夜には、町のアメフトクラブのチーム練習にも出ていた。京大に行ったら、アメフト部に入ろうと思ってましたが、学校には部はなかったですし…。

 京大アメフト部ではクォーターバックでしたが、体が小さいので怪我だらけで心も折れてしまい、3年で辞めました。そこでお笑いに逆戻りしたんです(笑)。

 それが性分なのか、スケジュールみっちりの、すごく忙しい高校生活でした。でも、思えばとても幸せな人生でしたね」

 変化に富んだ高校時代があったからこそ、大学体育会でのハードな練習も、テレビ全盛期のキー局での激務も、レコード会社での重責も大らかに担ってこられた。終始笑顔を絶やさず取材を受けながらも、眼鏡の奥の瞳は時おり鋭く光る。そこに“常盤屋露満寿”として活動する傍ら、物理の学習に熱中した少年が、今なお息づいているように思えた。

※崇徳院 一目惚れ同士の若い男女のすれ違いを描いた、初代桂文治作の上方落語を代表する演目。『小倉百人一首』77番の崇徳院の和歌、「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」に題を取る。

【水口昌彦プロフィール】
みずぐちまさひこ ポニーキャニオン常務取締役
1959年京都府生まれ。京都府立嵯峨野高等学校を経て京都大学工学部電気工学科卒業。82年技術職でフジテレビ入社。「HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP」「たけし・逸見の平成教育委員会」などの番組に関わるほか、番組プロデューサーとしてアイドルグループ「チェキッ娘」を生み出す。2009年よりポニーキャニオンへ出向、18年6月より同職。

 日本を代表する名門高校はイノベーションの最高のサンプルだ。伝統をバネにして絶えず再生を繰り返している。1世紀にも及ぶ蓄積された教えと学びのスキル、課外活動から生ずるエンパワーメント、校外にも構築される文化資本、なにより輩出する人材の豊富さ…。本物の名門はステータスに奢らず、それらすべてを肥やしに邁進を続ける。

 学校とは単に生徒の学力を担保する場ではない。どうして名門と称される学校は逸材を輩出し続けるのか? Wedge本誌では、連載「名門校、未来への学び」において、名門高校の現在の姿に密着し、その魅力・実力を立体的に伝えている。このコーナーでは、毎回登場校のOB・OGに登場願い、当時の思い出や今に繋がるエッセンスを語ってもらう。

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