トランプを読み解く

2019年5月8日

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立花 聡 (たちばな・さとし)

エリス・コンサルティング代表・法学博士

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒。LIXIL(当時トステム)東京本社勤務を経て、英ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。法学博士、経営学修士(MBA)。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

 
写真:AP/アフロ

 ついに来たのか。トランプ米大統領は5日、中国からの輸入品2000億ドル分に対する追加関税を5月10日に10%から25%へ引き上げると表明した。さらに追加関税の適用対象となる中国産品を拡大する可能性にも言及した。

 3月に予定されていた関税の引き上げを2カ月あまり引き延ばした意義は大きい。与えられたチャンスを生かせなかった中国側の問題になるからだ。さらに、中国が交渉から脱退すれば、トランプ氏は「残念だ。でも、交渉のテーブルは撤去されたわけではないから、いつでも戻ってきてください」と堂々と言えるようになる。ハノイでの米朝交渉は、トランプ氏が交渉のテーブルから立ち去ったが、今回は中国が立ち去らざるを得ない状況を作り上げたのである(参照:米朝決裂をどう見るべきか?不敗の交渉と深遠な謀略)。

 交渉は妥結するためのものではない。交渉は最終的戦勝のための小道具にすぎない。この「トランプを読み解く」シリーズで、私は一貫して指摘してきた。米朝交渉に続き、「結果的に米中交渉も不調に終わる可能性が大きい。その場合、トランプ氏は躊躇なく対中関税を引き上げる」。前記の拙稿に書いた私の予想もどうやら的中しそうだ。

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