前向きに読み解く経済の裏側

2019年5月13日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 経団連と大学関係者は、複線的で多様な採用形態に移行すべきだ、との提案をまとめましたが、特に大きな変化は起きないだろう、と久留米大学商学部教授の塚崎公義は考えています。

(takasuu/gettyimages)

新卒一括採用に大きな変化との期待もあるが……

 経団連と大学関係者から成る「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」は、採用等に関する共同提案をまとめました 。多くの項目の中で、本稿が注目しているのは「新卒一括採用(メンバーシップ型採用)に加え、ジョブ型雇用を念頭においた採用も含め、伏線的で多様な採用形態に、秩序を持って移行すべき」という項目です。

 これに関しては、「新卒一括採用が大きく変わる」という見方もあるようですが、筆者は特に大きな変化は生じないだろう、と考えています。

従来型の採用も残る……これが中心に

 複線化ということですから、従来型の採用も残ります。そうなれば、これが採用の圧倒的中心として残る可能性が高いでしょう。

 インターンシップの活用については、採用面接に代えて、あるいは採用面接の補強手段として用いられるのが普通でしょうから、「新卒一括採用」の一形態という理解で良さそうです。

 ちなみに、共同提案ではインターンシップで得た学生情報を採用に活用するか否かは「継続的に検討する」とありますが、それではあまり活用されないでしょう。採用活動に直結するのであれば、企業としてもコストをかけて実施するインセンティブがありますが、そうでなければ実施のインセンティブがありませんから。

 ジョブ型採用は、中途採用については増えるでしょうが、学生の採用に関しては増えそうもありません。理科系の大学院生であれば、学生時代の研究の成果で自分を即戦力としてアピールできるかもしれませんが、それ以外の場合には転職組に勝てないからです。

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