WEDGE REPORT

2019年5月20日

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 働く高齢者が増えている。労働力調査によれば、すでに就業者の5人に1人は60歳以上のシニアだ。彼らの労働意欲は高く、60歳以上の男女を対象にした内閣府の調査では、現在仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答した。「70歳くらいまで」、もしくはそれ以上との回答を合計すれば、約8割を占める(下図)。まさに、意欲さえあればいくつになっても働ける「生涯現役社会」の到来を感じさせる。

(出所)内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査」(2014年)を基にウェッジ作成
(注)調査対象は、全国60歳以上の男女。現在仕事をしている者のみの再集計 「わからない」(2.5%)、「無回答」(2.2%)除く 写真を拡大

 政府は、生涯現役時代に対応した雇用制度改革として、継続雇用年齢を65歳からさらなる引き上げを検討するなど、高齢者雇用促進を掲げる。大企業から中小企業への転職の橋渡しをするなど、中途採用の拡大も打ち出す。さらに社会保障制度改革として、病気予防・健康づくりの支援に加え、年金支給開始年齢の柔軟化を進める。一部報道では、希望すれば支給開始を70歳超へ繰り下げ可能にする案や、一定収入のある70歳以上には年金保険料の支払いを義務付ける検討も始めたという。

 一方、企業は、高齢社員を雇い続けることで、給料はもちろん、社会保険料の事業主負担分も増加し、コスト負担が大きくなる。シニアの労働意欲が高く、彼らの働きやすい環境を整えても、肝心の企業にシニアを受け入れる体力がなければ、「生涯現役社会」は実現しないだろう。現にその余裕はなさそうだ。「経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っている」との中西宏明・経団連会長の言葉は、偽らざる本音だろう。企業が守れないのは、シニア社員だけではない。大手企業では中高年の社員を対象としたリストラが進む(下表)。

(出所)各種資料を基にウェッジ作成 写真を拡大

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