今月の旅指南

2011年12月23日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 琵琶湖の西岸にある近江神宮は、近江大津宮の旧跡に位置する。今から1300年以上前、この地に都を移した天智天皇を祭神に、皇紀2600年記念事業として昭和15(1940)年に創建された。

 近江神宮の別名は “かるたの殿堂”。毎年1月に開催されるかるた祭は、小倉百人一首の一番歌が天智天皇の御製(ぎょせい)であることにちなんだ新春の恒例行事だ。初日、男女実力ナンバーワンを決める競技かるたの頂上決戦「名人位・クィーン位決定戦」で幕が開く。

 翌日は近江神宮神座殿(かみくらでん)において、かるた開きの儀が行われ、古式ゆかしい雰囲気の中、神前で天智天皇の歌「秋の田の刈り穂の庵(いお)の苫(とま)をあらみわが衣手(ころもで)は露にぬれつつ」が朗誦される。その後、全国のかるた選手約400名がレベル別にトーナメント形式で競う「高松宮記念杯 近江神宮全国歌かるた大会」が2日間にわたって繰り広げられる。

 「かるたというと優雅なイメージがありますが、競技かるたはまさに“畳の上の格闘技”。名人戦は5回戦(3勝先取)、クィーン戦は3回戦(2勝先取)で競われますが、1試合1時間はかかるため、もつれると、長時間にわたる戦いになります。気力、体力が続かないと勝てない、厳しい勝負の世界です」

 と語るのは、名人位決定戦に出場経験のある石沢直樹さん(大津あきのた会8段)。

かるた開きの儀では、采女装束の取姫がかるたを取る
写真:びわこビジターズビューロー

 読み手の声だけが聞こえる静寂の中、札を払う音が響きわたる。100分の1秒ともいわれるスピードで札の取り合いが進む。送り札にどれを選ぶかなどの駆け引きも勝負の醍醐味だ。

 「会場の緊迫した空気には独特のものがあります。かるた祭は観覧自由なので、競技かるたの試合の雰囲気を生で体験できるよい機会となるでしょう」

 天智天皇ゆかりの地で催される、畳の上の息詰まる対戦。みやびを超えた熱き思いに触れてみたい。

*敵陣の札を取ったときや相手がお手つきをした場合に自陣から送る札

かるた祭
<開催日>2012年1月7日(名人位・クィーン位決定戦)、1月8日(かるた開きの儀、全国歌かるた大会)、1月9日(全国歌かるた大会)
<会場>滋賀県大津市・近江神宮(京阪電鉄石山坂本線近江神宮前駅下車)
<問>近江勧学館 077(524)3905
http://oumijingu.org/

 

◆ 「ひととき」2012年1月号より


 

 

      

 
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