前向きに読み解く経済の裏側

2019年5月20日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

輸出をすれば日本国の家計簿が黒字に

 民間企業が物(財およびサービス、以下同様)を作って輸出をして代金を受け取れば、民間部門の家計簿は黒字になります。政府は取引を行っていませんから、政府の家計簿はゼロです。したがって、日本国全体としての家計簿である経常収支は黒字となり、日本国全体として外国に資産を持つことになります。

 実際には、輸出企業は持ち帰ったドルを銀行で売って社員の給料などの支払いに充てます。それを買うのは、輸入企業と投資家です。投資家は、米国債の方が金利が高いので、円をドルに替えて米国債を買うわけです。諸外国の株を買う場合や、諸外国に工場を建てる場合などもあります。

 投資家が外国で受け取った利子や配当等のドルは、そのまま米国債等を買い増しするために使う場合もありますし、他の投資家に売る場合もあります。いずれにしても、利子や配当は更なる投資に使われるわけです。

 実際には、民間部門は政府との取引、海外との取引、民間部門内の相互取引などを行っていますが、一つ一つの取引の合計で見ると、冒頭のように「日本政府は赤字だが、民間が大幅黒字なので、日本国全体としては黒字」ということになるわけです。

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