韓国の「読み方」

2019年5月20日

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澤田克己 (さわだ・かつみ)

毎日新聞記者、元ソウル支局長

1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11~15年ソウル支局。15~18年論説委員(朝鮮半島担当)。18年4月から外信部長。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『韓国「反日」の真相』(15年、文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、『韓国新大統領 文在寅とは何者か』(17年、祥伝社)、『新版 北朝鮮入門』(17年、東洋経済新報社、礒﨑敦仁慶応義塾大准教授との共著)など。訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。

弁護士への懲戒請求は平均年齢55歳

 コラムでも取り上げたのが、朝鮮学校への補助金支出を批判するブログにあおられて約1000人が弁護士への懲戒請求を行った問題だ。匿名でできるというブログのウソを信じて署名なつ印した書類を弁護士会に送り、逆に弁護士から損害賠償を求められているというお粗末な話である。

 NHKの「クローズアップ現代+」が昨年10月29日に放送した「なぜ起きた? 弁護士への大量懲戒請求」の番組内容を紹介している公式サイトによると、懲戒請求を送った人のうちNHKの調べで住所などが判明したのは470人。平均年齢は55歳で、およそ6割が男性。職業は、公務員や医師、主婦や会社経営者など幅広かった。接触に成功した91人に聞いた動機として最も多かったのは、「日本をよくしたいという正義感から」だったという。

 この番組では背景として、自分が好む情報ばかり表示される「フィルターバブル」や同じ情報ばかりが行き交う「エコーチェンバー(共鳴室)」と呼ばれる現象がネット上では起きやすいと指摘。さらに、匿名性の中で意見が過激化しやすい「脱抑制」や、より強い意見に引きずられる「集団極性」という現象もネット上に見られ、結果として極端な行動に出やすくなるという見方が示された。

 一方、在特会などについての研究『日本型排外主義』(樋口直人、名古屋大学出版会、2014年)は「インターネットは、政治的な立場を変えるほどの影響力を持つわけではなく、既存の立場を拡張する媒介になると考えた方がよい」と指摘する。もともと持っていたイデオロギー的背景が排外主義的な考え方につながっているという研究結果だ。排外主義運動の活動家というレベルにまでなる人は、ネットにあおられる以前に、そうした考え方の芽を持っていたということになる。

 冒頭に述べたように、きちんとした根拠のある批判はなんら問題とされるものではない。そして近年における韓国の対日外交には批判されるべき点が多いのも事実だ。実際には、日韓両国を取り巻く過去30年の環境変化を見れば、韓国側の理屈はそれなりに理解できるものだ。そう考える私にしても近年の韓国外交には批判的な見方をせざるをえないのだから、不快に感じる人がいても不思議ではない(「日韓関係の構造的変化を考える」と題して4回の連載に書いた)。

 しかし、だからといって根拠のない決め付けが許されるわけではないし、排外主義など論外である。感情的な議論は、自らの国益を害することにもなる。在韓日本大使館に勤務した経験のある友人と「韓国に対してうんざりするのと、根拠のない決め付けに基づく嫌韓やヘイトスピーチは区別する必要がある」と話しているのだが、その区分があいまいにされがちなのも現在の日本における大きな問題だろう。


  
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