WEDGE REPORT

2019年5月21日

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朴承珉 (パク・スンミン)

在韓ジャーナリスト

在ソウルジャーナリスト。時事通信ソウル支局記者を経て、「文藝春秋」「週刊文春」のソウル特派員。長年、北朝鮮問題をウオッチ。平壌や開城工業団地、板門店、金剛山など7回以上北朝鮮入りして取材。日韓メディアに寄稿している。

「話す」を含む4技能テストも実施

 李明博政権時代、修能の英語試験を代替するため、国家英語能力評価試験(NEAT、National English Ability Test)を2009年から開発し始めた。

 TOEICやTOEFL等への依存度を下げ、学生らの英会話能力を高めるため、政府が本格的に導入した英語試験であり、「話す・聞く・読む・書く」能力を評価するインターネット基盤試験(IBT)として開発された。

 政府が修能試験の英語をNEATに代替しようとしたのは、10年以上の英語教育を受けたにもかかわらず、英語で 話す・書くことに苦しんでいる韓国人の英語の実力を実用的に発展させるためだ。また、TOEFLとTOEICなどに対するロイヤルティーと米国ETSに支払うお金さえ、当時、年間300億ウォン(約30億円)が超える状況で政府が主導して直接公信力のある英語能力評価試験を用意するという趣旨で推進された。

 NEAT1級は、大学生と社会人に向けたTOEFLとTOEICを代替するため。2級の場合、大学で授業するのに必要な基本的な英語の使用能力を評価。3級は日常生活に必要な実用英語使用能力を評価する。

 2009年から11年までパイロット試験を経て12年に2回施行された2級試験で、読む・書く・聞く・話す4つの機能で最高点数である「A等級」を受けた受験生は、2級の場合、高い点数をもらったA等級の人が17.4%に達して多すぎ、「識別力に問題あり」との議論が起きた。

 こうした理由から、ソウル大学、延世大学、高麗大学をはじめ、ソウル市と首都圏所在の主要上位ランキングの大学は受験生にNEATのスコア提出を求めなかった。スコアの提出を求めた大学は地方の大学など27大学に止まった。

 2013年の大学入試からNEATが採用される予定だったが、中学や高校の教育現場から「対策が間に合わない」と反発が噴出。また、民間の英語産業への依存がさらに進み、「塾に通える生徒と通えない生徒の格差が拡大する」という批判も強まった。結局、大学入試へのNEAT採用は先延ばしされ、次の朴政権に判断が委ねられた。NEATブランドが認知されなかったことも指摘された。

 政府がNEATを開発して施行するために、合わせて593億ウォン(約59億円)をかけて、2009年に予備評価を経て、2012年から施行されたが、施行4年後の2015年、受験者が5000人余りに過ぎなかった。朴槿恵政権の時代に予算が断たれ、結局廃止になった。

 ところが、去年から国会内の討論会などで学生たちを過度な英語学習の負担から解放させるためには、活用が低迷して廃止されたNEATの一部分を再導入すべきとの主張が提起されている。

 激しい学歴社会と競争社会に立たされる韓国の学生たち、修能試験で満点を受けた学生さえ、自分のSNS(ネット)に下記のような意見を掲載した。「入試制度に不満を感じ、今後、私たちの社会システムを変えたい」

 外国人の目には不思議に映るはずの韓国の教育熱と私的教育負担の熱風、修能試験の行事は世界どこにもない「韓国だけの奇怪な祭り」かも知れない。

  
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