ネット炎上のかけらを拾いに

2019年5月22日

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津田大介氏も指摘した弁護士らの暴言

 いったん状況を整理しよう。小林弁護士を擁護するわけではないが、デモに不快感や嫌悪感を示していた弁護士は彼だけではない。ツイッター上では、無罪判決を批判する人やデモの参加者に対して、弁護士からの罵詈雑言が飛び交っていた。

 その暴言の激しさは、朝日新聞・論壇時評(4月25日/https://www.asahi.com/articles/DA3S13991606.html)で津田大介氏が「デモ参加者に対する苛烈な中傷」と言及するほど。参考サイトでまとめられている情報(https://twitter.com/i/moments/1118366898821980161)によれば、複数の弁護士が一般人を指して「脳みそが通常人比較で98%たりない方々」「知的怠惰」「壊れた物体(人間もどき)」「ヒステリー」「精神が未熟」「単なる危険な結社か集会」「わけわからんデモ」といったツイートを行っていることがわかる。

 弁護士は倫理観や品位が求められる職業だと考える人にとっては、いささかショッキングな文字列だろう。中には検索すると企業法務を行っている人などもいるのだが、業務に支障が及ばないものなのだろうか。

 丁寧な議論が必要な局面で、優秀な弁護士たちがこのような過激な言葉を使う理由は何なのか――。これは、少し考えればわかることだ。

 被害者側の代理人として仕事をする一部の弁護士を除き、基本的に刑事事件で弁護士は加害者側の弁護を行う。有罪率99%とも言われる日本の裁判において、無罪判決は弁護士にとって輝かしい勲章である。同輩の勝ち取った無罪判決を、裁判官様のご英断による無罪判決を、そうやすやすと「一般人」から批判されてたまるものか。

 そのような心情をお察しする。一部の弁護士たちがこの件で「ヒステリックなパンピーと違って僕らは冷静で客観的な中立視点からの意見でござい」とばかりに振る舞っているのが不思議である。

ツイッターであらわになる有名人の人間性

 もちろん、津田氏が「無罪判決への過度な抗議や、裁判官への個人攻撃は司法の独立や、推定無罪の原則を否定し、冤罪事件の弁護を困難にする側面があるからだ」と指摘するように、真摯な気持ちで憂慮する弁護士も中にはいるのだろう。

 ただ、そうであるならばなおさら丁寧な言葉が求められるところで、専門家ならばあって当たり前の知識を盾に一般人の無知をあざ笑うような態度は溝を深めるだけとしか思えない。ましてや「オナニー」をや、である。

 昨今話題になっている出版社の社長もそうだが、ツイッターをやらなければ人間性を露呈せずにすんだものを……と言いたくなる有名人は少なくない。

 ちなみにツイッターで「筋肉弁護士 ブロック」などで検索すると、特に絡んだ経験もないのに小林弁護士からブロックされていたとツイートしている人が散見される。ツイッターの使い方は人それぞれだが、自分と合わないタイプを最初からシャットアウトするタイプなのかもしれない。NHKも、とんだセンセイを抱え込んだものだ。

  
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