From NY

2019年5月24日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

いつまでも日本人の部分か

 自分がやる場合の心得を書いてくれた友人もいる。

 「通路側に座ることそのものは、特にマナー違反だとは思わない。私も荷物が多いときはやるかも。でもその場合は、人が乗ってきたら周りをよく見回して、座りたそうな人がいたら奥に入れてあげるという気配りは必要。でも残念ながら、スマホに夢中になっている人がほとんどだけど」

 これはイタリア系アメリカ人のスーザン。日系の会社の仕事を手伝ったこともあり、細かいことによく気がつく彼女らしい。

 その一方、日本人の友人たちからは「マナー悪いね」「通路側に座っている人に、窓側いいですか、とはなかなか言いにくい。結局窓側の席は誰も使えないというのは、やっぱりおかしいです」と、筆者の感覚に同調する意見が並んだ。

 これはやはり、日本人としては普通の感覚ではないかと思う。

 もう40年もニューヨークで暮らしている筆者は、中身はすっかりニューヨーカーになったつもりでいた。だがこうした感覚は日本人のまま、変わらないものなのだということを今回改めて実感することになったのだ。

「正しいニューヨーカー」の反応?

 さてこの書き込みで盛り上がった翌日のこと。

 バスに乗ったら案の定、バスの中で窓側を空席にしたまま通路側の席に座っている若い男性がいた。立っている人たちは、わざわざ頼んでまで座ろうという気はないようである。

 アレックスの持論を実験してみるつもりもあって、「Excuse me, can I sit there?」と窓側の席を指差した。

 するとこの男性、これ見よがしにため息をついてうんざりしたような顔をしながら渋々と立ち上がった。なるほど、こんな思いをするのなら立ってたほうがまし、という人も出てくるわけだ。

 「こんな実体験がありました」と、早速昨日の自分の書き込みに報告をつけた。

 「そんなヤツには、すれ違いざまに左目に一発お見舞いしてやれ!」と即座にアレックスが返答。「それが正しいニューヨーカーの反応です」

 そ、そんなことを言われても。

 真のニューヨーカーへの道は、なかなか険しいのである。

 

  
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