田部康喜のTV読本

2019年5月23日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

別れを選択する二人

 第5話(5月21日)に、至って「悲劇」が起きる。電車をホームでまっていた、つぐみと樹。つぐみが貧血によって線路内に転落した。駅員が非常停止ボタンを押したために、かろうじて電車にひかれることは免れたが、つぐみは頭部に軽傷。左ひざ付近の骨折によって全治2カ月で入院する。

 病院にかけつけた、つぐみの幼馴染でアプリ制作会社を経営している、是枝洋貴(瀬戸康史)が、樹に対して、つぐみが介護の資格を取るために専門学校に通っていたことを告げる。樹は「すぐそばにいた。助けられなかった、助けられたのに」と悔やむ。

 ベッドで目を覚ました、つぐみは樹の姿に気づくと「よかった鮎川君が巻き添えにならなくて」というのだった。

 是枝(瀬戸)は、つぶやく。「純愛を絵にかいたようなんだよな。きれいだよね。こんなきれいなものが続くかって」と。

 つぐみは、実家で静養することになる。樹は、見送ることを約束するが、当日病院に姿をみせない。合併症や感染症が疑われる、高熱を発症して緊急入院したのだった。

 帰京した日に、つぐみはようやく樹の病を知る。東京に飛んで帰るつぐみを、是枝(瀬戸)が車で病院に送るのだった。高熱が去らないので、医師は便秘の治療として「摘便」の処置を取るように看護師に命じる。ヘルパーの葵(中村)が「看護師だったので、わたしがやります」というと、つぐみも「わたしがやります。実際にやったことはないけれど、勉強しているので」と。

 樹はつぐみに、自分自身をさらすことを恥じて「部屋を出ていってくれ」という。

 処置が終わって、別室で葵はつぐみを問い詰める。

 「どうして動揺させるの。愛では乗り越えられない。どうして帰ってきたの。あなたがいると樹は幸せになれない。わたしも樹君が好き。あなたよりも支えられるし、役に立つ自信がある。帰って」と。

 退院した樹と、骨折が直ったつぐみは、ふたりで旅に出る。

 樹はつぐみにこう語りかける。「あのころに戻りたいな。川奈といると楽しい。幸せに感じる。すごく幸せだ。感じれば、感じるほど、歩ければできたことがくやしくて。俺はおまえになにもできないから。ホームから落ちた時も俺が助けてやれたらって、悔しくて。川奈のこと本当に大切に思っている。二度と会うことができない、かけがえのない人、それだけは信じて。これまで、ありがとう。終わりにしよう」と。

 つぐみは、樹に抱きついてただ涙を流すばかりだった。


  
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