海野素央の Love Trumps Hate

2019年5月26日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

選挙協力の再確認

 トランプ大統領はイスラエルで今年4月に行われた総選挙で、ベンヤミン・ネタニエフ首相に協力し、彼を勝利に導きました。ゴラン高原のイスラエル主権を認め、イラン革命防衛隊をテロ組織に指定して、イスラエルの保守派の票がネタニエフ首相に流れるように仕組みました。同首相は選挙の直前にワシントンを訪問し、トランプ大統領との「蜜月ぶり」をアピールしています。

 トランプ大統領にとっても、米国内の保守派のユダヤ教徒の票を獲得できるチャンスになりました。つまり、トランプ、ネタニエフ両氏はウイン・ウイン(勝者・勝者)の関係を築いたといえます。

 同様に、米大統領選挙に突入したトランプ大統領と参院選を控える安倍総理は、「選挙協力」の約束をすでにかわしているフシがあります。仮にそうであれば、今回のトランプ訪日の隠された議題は、「選挙協力の再確認」です。

 トランプ大統領は集会で安倍総理が東部ペンシルべニア州並びに中西部ミシガン州などに自動車工場を新規に建設することを約束したと、支持者に訴えています。来年の米大統領選挙で最重点州は、ペンシルべニア州、ミシガン州及びウイスコンシン州の3州になるからです。

 ペンシルバニア州の選挙人は20、ミシガン州は16、ウイスコンシン州は10で、合計46になります。2016年米大統領選挙でヒラリー・クリントン元国務長官は選挙人を232まで獲得できました。これにうえの3州の選挙人を上乗せすれば、獲得選挙人は278になり、大統領選挙で勝利に必要な270を超えます。

 逆に、トランプ大統領の獲得選挙人は306でしたので、この3州を民主党候補に奪還されると、260に減り再選が不可能になります。

 すでに、民主党の最有力候補であるジョー・バイデン前副大統領は、ペンシルベニア州、ミシガン州並びにウイスコンシン州におけるトランプ大統領の支持基盤である白人労働者の切り崩しを狙って選挙運動を開始しました。民主党は来年7月に全国党大会をウィスコンシン州ミルウォーキーで開催します。

 これに対してトランプ大統領は、3月にミシガン州、4月にウイスコンシン州、5月の訪日直前にペンシルべニア州を訪問し、支持者集会を開いており、民主党候補から3州を死守する意欲を示しています。筆者は、ミシガン州とペンシルべニア州でのトランプ集会に参加しましたが、トランプ大統領は「ペンシルべニア州はこれから何度も訪問することになるだとう」と語っていました。

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