海野素央の Love Trumps Hate

2019年5月26日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

単なる「先延ばし」

 ペンシルべニア州フィラデルフィアで5月18日に行われたバイデン氏の支持者集会に筆者が参加したとき、ウイスコンシン州シボイガンから車で13時間かけて集会に駆け付けたバイデン支持者と遭遇しました。この白人男性(26)は次のように述べました。

 「ウイスコンシン州の農家は中国に大豆やチーズ、豚肉を輸出しています。ところがトランプが中国製品に追加関税をかけたので、中国は米国製の農産物に報復関税をかけました。それが原因で、ウイスコンシン州には倒産した農家があります」

 トランプ大統領には大統領選挙の最重点州であるウイスコンシン州の農家を助けるために、同州の豚肉を日本に売りつける思惑があるのでしょう。

 安倍総理は、夏の参院選が終わるまでは自動車輸出の「数量規制」や農産物の関税引き下げの要求は待ってもらい、その代わりにトランプ大統領の選挙協力をするという「密約」をかわしたのでしょう。ただ、これは単なる「先延ばし」にすぎません。

 民主党候補からペンシルベニア州、ミシガン州及びウイスコンシン州の3州を狙われているトランプ大統領が、日本的な蜜月関係を捨て、ビジネスライクで安倍総理に迫るのは時間の問題です。

 トランプ大統領は中国の習近平国家主席に対して、「私は習のことが好きだ。彼も私のことを好きだと思う。米国の過去の大統領が中国との貿易問題を解決してこなかった」という議論の仕方をして、容赦なく対中貿易赤字是正に取り組んでいます。今後、安倍総理にも同様のアプローチをしてくる可能性は否定できません。

  
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