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2019年5月27日

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欧州連合(EU)の加盟28カ国で投票された欧州議会選挙の開票が26日始まり、イギリスではEUからの離脱(ブレグジット)を掲げるブレグジット党が最多議席を獲得し、EUへの残留を主張する自由民主党がそれに次ぐ見通しとなっている。

国内2大政党の与党・保守党と最大野党・労働党は、共に大きく議席を減らす見込み。特に落ち込みが深刻なのが保守党で、得票率は10%に満たないと予測されている。

ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首は、今回の結果から2大政党は「多くのことを学べるだろう」と述べた。

投票率はイギリス全体で37%弱だった。

ブレグジット党が28議席以上を確保

欧州議会でイギリスに割り振られている73議席のうち、これまでに64議席が確定している。内訳は、ブレグジット党28議席、自由民主党15席、労働党10議席、緑の党7議席、保守党3議席、ウェールズ地方の地域政党プライド・カムリ党1議席。

ブレグジット党はイングランドでロンドン以外の全選挙区でトップだった。ウェールズでも22選挙区中19選挙区で勝ち、議員2人を欧州議会に送ることになった。ウェールズ2位は1議席を維持した地域政党のプライド・カムリだった。

スコットランドでは、スコットランド国民党(SNP)が2議席から3議席へと増やし、ブレグジット党が1議席を得ると見込まれている。

一方、北アイルランドでは開票が27日に始まり、結果が明らかになるのは28日とみられている。

選挙分析を専門とするサー・ジョン・カーティスは、EUからの合意なし離脱を支持するイギリス独立党(UKIP)とブレグジット党の合計得票率が約35%、ブレグジットの是非を問う国民投票のやり直しを求める複数政党の合計得票率が約40%となる見通しだと指摘。これはイギリスがいかに分断しているかを示す結果だと説明した。

イギリス国内の選挙結果について、これまでに以下が判明している。

  • 12地域のうち10地域で結果が確実になっている
  • その10地域のうちの9地域で、ブレグジット党が最大得票率を得ている。同党は全体で最多議席を獲得する勢いで、地域によっては3分の1近くの票を得ている
  • 保守党は全域で得票が伸びず、得票率は5位となる見込み
  • 自由民主党は得票率約20%で、得票率2位となると予測されている。EU残留の支持者が多い地域で明確に得票率が高い。ロンドンでは同党が1位で、保守党は5位となっている
  • 緑の党は議席数を大きく伸ばし、1989年以降で最高の結果となる見通し
  • 新党チェンジUK党の得票数は3%でまだ議席を獲得していないが、ハイディ・アレン党首は「負けたが終わりではない」とコメントした。
  • かつてファラージ氏が在籍していたUKIPはブレグジット党に票を取られ、得票率は3%となお議席を得ていない。
  • 労働党は3位に転落。得票率は15%に満たないと見込まれている。これは2009年の最低記録を下回る結果。

BRX=ブレグジット党、LD=自由民主党、SNP=スコットランド国民党、LAB=労働労、GRN=緑の党、PC=プライド・カムリ党


各党の反応は

保守党で当選した3人のうちの1人、ダニエル・ハナン欧州議会議員は、今回の結果は「今までで最も悪い」と認めた。

EU離脱派でもあるハナン氏はその上で、「私たちはブレグジットに投票したのに、まだ離脱していない。理由は簡単なことだ」と指摘した。

同じくEU離脱派のスティーヴ・ベイカー元EU担当閣外相は、約束どおりEUを離脱でしなくては、保守党は「壊滅」するだろうと警告した。

「本来、敗北するべきではない素晴らしい欧州議会議員を失った」と、ベイカー氏はBBCのテレビ番組「Breakfast」で語った。

「イギリスと保守党にとって悲しみの時だが、この結果には驚いていない。このような形で(EU離脱の)約束を破り、罰されないと思う方がおかしい」

労働労のジェレミー・コービン党首は、保守党がブレグジット実現に失敗した後の今回の選挙は、「2回目の国民投票の代わり」だったと述べた。

コービン氏はまた、労働党は「この結果をもとにブレグジットで割れている双方のことを考える」と表明。ブレグジットについては、総選挙か公的な投票によって「国民の意見を改めて聞く必要がある」との考えを示した。

労働党のトム・ワトソン副党首は、「壊滅的な」選挙結果が出たことで、同党はブレグジットへの対応を「緊急に」考え直す必要があると話した。

自由民主党のサー・エド・デイヴィーは、「EU残留運動に関わった政党の得票をすべて合わせると、強いメッセージが浮かび上がる。自由民主党はEU残留支持者の票を最も獲得し、非常に喜ばしく思う」と述べた。

緑の党のシャーン・ベリー共同党首は、EU離脱をめぐる2度目の国民投票がより現実的になったと述べ、「国家の決定の最終判断を国民に委ねるのが唯一前進できる方法、ブレグジットの混乱にけじめをつける方法だということが明らかになった」と指摘した。

「EU残留派政党の得票率が、ブレグジット党やUKIPの得票率を上回っている。国民は声を上げた」

国民投票の結果と同じ傾向

EU離脱をめぐる2016年の国民投票で離脱票が55%以上に達した地域では、ブレグジット党の平均得票率は44%に上った。

一方、国民投票で離脱票が45%以下だった地域では、自由民主党の平均得票率は50%近くだった。

投票率は、地域によって大きく上がったところがあれば、下落したところもあった。

最も上昇したのはウェールズで、5%ポイント上がり37.3%だった。

一方で、北アイルランドでは6%ポイント近く下落し、45.1%になった。イングランドの中部や北西部、東部でも投票率が落ちた。


<分析>有権者は明快さを求めた――ローラ・クンズバーグ政治編集長

ブレグジットをめぐる議会の溶解を受けて、2大政党がともに厳しい罰を受ける結果となった。

反対に少数政党にとってはどうだったか? 自由民主党が浮揚し、もちろん、復讐心に燃えるナイジェル・ファラージ氏が復活した。

欧州議会選挙はイギリス総選挙の直接的な代理選挙ではないかもしれないが、それでも今夜以降、全国の何百万もの有権者は2大政党以外の政党の政治家を自分たちの代表として掲げることになる。

今回の結果、政治では妥協が勝利するという考え方にも疑問符がついた。そして、ことブレグジットについては、国民は明快な姿勢(残留か離脱かを問わず)を求めているようだ。

離脱派は離脱を求め、残留派は残留を求める。中間で折り合おうと説得する努力は失敗に終わった。

選挙結果から国民は、何はともあれEUを出たがっているのが分かるのだろうか? それとも逆にこれは、国民がブレグジット中止のための国民投票を求めているという結果なのだろうか?

この結果について色々な人が色々なことを言うだろうが、実は結果はそこまで白黒はっきりしていない。

ブレグジット党は大勝した。ファラージ氏の新党は、単独の政党としては最大の勝ちを納めた。

しかし、ブレグジットに反対する自由民主党も緑の党もプライド・カムリもスコットランド国民党も、いずれも勝ったのだ。

はっきりしているのは、ブレグジットで迷走し下院でひどいどたばたを演じた二大政党が有権者に場せられ、明快な選択肢を提供した政党に敗れたということだ。二大政党は、玉虫色ながらバランスの取れた解決策を見出そうとしたが、それが有権者にそっぽを向かれた。

そうなると、保守党も労働党も今後は、中道派のために戦うのを諦めてしまうかもしれない。

(英語記事 Brexit Party dominates in EU elections

提供元:https://www.bbc.com/japanese/48419234

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