<短期連載>ペット業界の舞台裏

2011年12月24日

»著者プロフィール

 第1回と内容が重複するところがありますが、今年は日本において唯一のペットの福祉に関連した法律“動物の愛護及び管理に関する法律”(動愛法)の改正年です。未曾有の震災の影響で予定よりも遅れましたが、改正に向け進んでいます。今回の改正案の中で注目されている、動物取扱業の適正化の中に「8週齢規制問題」というものがあります。販売目的に繁殖した犬猫の子供を親から離す時期はいつが適切かを検討しよう、という内容です。犬猫の旬を大事にするペット業界側と福祉と適正飼育を主張する愛護団体で意見が割れています。

 業界側は「旬(幼齢から育てる)は日本人の気質に合ったもの。個体の飼育には何ら問題がないので業界の自主規制(6~7週齢)で良い。8週齢だとコストがかかり過ぎるので廃業する業者が増えてしまう」という趣旨の主張。

 一方愛護団体は、「幼齢動物を展示販売することはそもそも動物の福祉をないがしろにしている。特に犬猫は精神的な発育(社会性)を促すために8週齢まで親兄弟と過ごすことが重要。社会性が未発達だと問題行動を起こしやすい」などと意見が割れています。

現状は平均生後35日で親から離される

8週齢規制問題の行方はいかに
(写真:筆者提供)

 「離乳食を食べ始めたら離し時」が業界の常識ですので、繁殖業者が子犬・子猫を流通に乗せるのが平均して生後35日。親からの移行抗体もあり病気もかかりにくいし、仕入れから1週間管理しても旬の時期には販売が出来る。効率的に販売するための常識です。「8週齢が良いという科学的根拠はない」との発言もありますが、欧米のペット先進国では法律の文言に8週齢以下販売禁止が記載されていますし、私自身の経験でも、8週齢まで育てば成長過程の一区切り、体力もついてきて肉体面では飼育もしやすいと考えます。

 ただ、しつけや環境に適応する能力など精神的な面は8週齢でもまだまだ未熟です。この後人間社会で生活していくために必要なこと全てを飼い主が教えなくてはいけません。この教育が不十分だと、飼育放棄や虐待に繋がりやすいことを考えると、飼育に関して全くの初心者にはまだハードルが高すぎるため、個人的には12週齢以上を勧めています。これは業界の常識に則していませんが、家族として肉体的にも精神的にも“健康に生き続ける”ことがペットの価値であるとすると、やはりリスクは可能な限り小さくすべきと考えています。

 ペットを“物”として考えるなら、作ったものは早く換金するのが商売上有益ですので週齢問題は離乳食を食べ始める35日で構わないでしょう。

 しかし、ペットを“命ある物”と考えるなら、社会的に業界が受けている批判を解消するためにも、まずはペット先進国の例を見習い8週齢として実行する。そのうえでこの問題を研究し答えを見つけ、次に向けて再検討することが、科学的根拠を見極める可能性もあり得策だと思います。

 今回の改正にあたっては、パブリックコメントの募集もありました。立場や考え方も違った多くの方たちが意見を出し合っています。その結果からは、今業界は世間からどう感じられているのか、何が求められ、何を与えればよいのかを読み取れるはずです。その意見を踏まえた上で業界側は生き残る可能性を模索する必要があります。しなくてはならないと考えます。結果を期待したいと思います。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る