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2019年5月29日

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欧州連合(EU)の要職をめぐり、ドイツとフランスが対立している。EU首脳は28日、ブリュッセルで会合を開き、先週行われた欧州議会選挙を踏まえた今後のEU像を話し合った。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、11月に交代となる欧州委員長の座に中道右派のマンフレート・ヴェーバー氏(ドイツ)を推薦。一方、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、有力候補としてヴェーバー氏の名前を挙げなかった。

欧州議会選挙では、最大勢力だった中道左右両派が過半数割れを喫した。対照的に緑の党やナショナリスト政党が議席を伸ばすなど勢力が細分化しており、EU内での合意がますます困難な状況になっている。

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欧州委員会とは? 候補者は?

欧州委員会はEUの政策執行機関で、EU法の施行や法案のとりまとめなどを担う。リーダーである欧州委員長の人気は5年。

現職のジャン=クロード・ユンケル委員長は中道右派の欧州人民党(EPP)所属。2014年の欧州議会選挙で同党が勝利したことを受け、委員長に就任した。

しかしEPPは今回の選挙で第1党を守ったものの、217から180に議席を減らした。そのため、EPPが擁立しているヴェーバー氏には厳しい戦いが待ち受けている。

首脳会議の後の会見でメルケル氏はヴェーバー氏を推薦すると述べた上で、「他の人が他の候補を推薦するのは当たり前だ」と話した。

一方、マクロン氏は候補者として3人の名前を挙げたが、この中にヴェーバー氏はいなかった。

また、特に推薦している人の名前については言及を控えたものの、候補者には考えられる中で「最もカリスマ的で、創造的で、競争力が高い」ことが求められると話した。

欧州委員長候補としては、EU離脱首席交渉官のミシェル・バルニエ氏(フランス)、欧州委員会のマルグレーテ・ヴェステアー競争政策担当委員(デンマーク、リベラル)、フランス・ティメルマンス欧州委第1副委員長(ドイツ、中道左派)などの名前が挙がっている。

これに加え、年後半には欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁、フェデリカ・モゲリーニ外交安全保障上級代表も任期満了となる予定だ。

欧州理事会の常任議長は12月1日から、その他の要職は11月1日から、新たな任期が始まる。


EU要職交代のスケジュール

  • 5~6月: EU首脳と欧州議会の各会派が、候補者について協議を進める
  • 6月20、21日: 欧州理事会によって推薦候補が決まる
  • 7月: 欧州議会が推薦候補者について採決を行う
  • 11月1日: 欧州委員長、上級代表、ECB総裁が交代し、新しい任期が始まる
  • 12月1日: 欧州理事会の常任議長が交代する

<分析>交渉、そして譲歩のとき――アダム・フレミング・ブリュッセル特派員

EUの要職決定プロセスでは、ジェンダーや政治的傾向、出身国などが考慮される。

加盟28カ国の首脳はお互いに、そして最終的な採決権を握る欧州議会議員とも譲歩する必要がある。

欧州議会は声明で欧州委員長に求められる素質を発表したが、その内容は「欧州議会選挙以前から自身の計画を立てており、欧州全体の活動に関わってきた人物」とトーンダウンしている。

これにより、これまで厳密には候補ではなかった人物、ヴェステアー競争政策担当委員やバルニエEU離脱首席交渉官までにも、委員長職への道が開けたことになる。

一方、これまで主力候補とされてきたヴェーバー氏は、後ろ盾となるEPPが欧州議会で議席を減らしたことで、当選の可能性が弱まったことを認めた。

また、これは欧州議会の各会派が主要人事で力強い役職を得るより、EUの将来の指針を決めることに力を入れていることを示唆している。

新任者が決まるのは年後半だが、すでに多くの名前が挙がり、状況も刻一刻と変わっている。


(英語記事 EU's big two divided over Brussels' top job

提供元:https://www.bbc.com/japanese/48441534

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