WEDGE REPORT

2019年6月1日

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 欧州議会選挙が23日から26日まで行われ、事前予想通り、親EUの二大政党が後退し、ポピュリスト政党が票を伸ばしたものの過半数を制するには至らなかった。今後、二大政党は親EUの他政党と連携し統合を更に推進していくものと見られる。欧州はひとまずほっと胸をなでおろした。選挙は人々の高い関心を呼び、これまで低下の一途だった投票率が久々に50.5%と5割を超えた。

写真:ロイター/アフロ

「中道の敗北」が意味するもの

 注目の第一は、中道の二大政党の敗北である。これは、欧州政治の大きな流れと軌を一にする。

 欧州政治は長らく中道の国民政党が主導してきた。例えばドイツでいえば、中道右派のキリスト教民主社会同盟(CDU/CSU)と、中道左派の社会民主党(SPD)である。この中道に位置する二大政党が政権を担うことで政治が極端に振れることなく安定的に推移してきた。その流れに異変をきたしているのが現在の欧州政治である。今回の欧州議会選挙も同じ兆候を示した。

 欧州議会の中道の二大政党とは、キリスト教民主主義の欧州人民党(EPP)と社会民主主義の欧州社会・進歩同盟(S&D)である。これまで欧州議会では、この二大政党で過半数を抑え両党間の協議により安定したEU政策が行われてきた。今回、初めてこの二大政党の合計得票率が過半数を割った(EPP23.8%、S&D20.0%、計43.8%)。その意味するところは、今後、二大政党は他の親EU政党とも協議しつつEUの政策を考えていかなければならないということだ。

 実は、これもまた欧州政治の大きな流れの一つである。つまり、欧州では、どこも多くの政党が分立しそれらの政党が連立して政権を担っている。この「政治の多極化」は、必ずしも安定した政治につながるわけではない。例えばこれまで2党で連立していたのが3党連立になれば、連立の運営は複雑になり多くの妥協が必要とされる。急を要するときに速断するというわけにもいかないだろう。

 欧州議会では親EU政党は二大政党の他にもあるから、それらをまとめることができれば親EUの政策を続けていくことは可能だ。従って、今回、二大政党で過半数を失ったことは、親EUの政策が難しくなったことを意味するわけではないが、政策の合意が複雑になり、より妥協が必要となることは否めない。EU政治はこれまでのように一直線に物事を決めるというわけにはいかなくなるのだ。

 今回、二大政党が失った票はどこに流れたか。大きくいって、反EUのポピュリスト政党、及び、親EUの欧州自由民主同盟(ALDE、14.2%、自由主義)と緑の党(9.3%)だ。二大政党と自由党、緑の党を併せれば過半数確保は可能である。

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