田部康喜のTV読本

2019年6月5日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

(KatarzynaBialasiewicz / iStock / Getty Images Plus)

 NHK土曜ドラマ「デジタル・タトゥー」は、タイトルバックにヤメ検の弁護士・岩井堅太郎(髙橋克実)と、岩井の事務所に身を寄せている、人気ユーチューバーのタイガ(瀬戸康史)の裸の上半身がタトゥーをまとっている衝撃的な映像で幕を開ける。

 デジタル・タトゥーとは、ネット上にアップされた書き込みや個人情報が、いったん拡散すると完全に消去するのが極めて困難な状況を表す。欧州では「忘れられる権利」といわれる、個人にとって不都合なネットの情報をいかに消し去るのかが問われている。

「寝ても覚めても」唐田えりかに注目

 ドラマは、ゲストを迎えて1回完結で進行しながら、二重のサスペンスが全体を貫いている。タイガの異母兄である、伊藤壮輔(竹財輝之助)はなぜ自殺したのか。ふたりの父親である、政界の重鎮・伊藤秀光(伊武雅刀)がカギを握っている。

 岩井(髙橋)の娘で大学3年生・早紀(唐田えりか)はテレビ会社のアナウンサーの内定を得ている。彼女に対するネットの中傷が始まった。犯人は誰なのか。付き合っていた同じ大学の学生の小西達也(荒井敦史)なのだろうか。

 いまどの女優に注目するか。そのひとりは、間違いなく早紀役の唐田えりかである。濱口竜介監督の日仏合作「寝ても覚めても」(2018年)は、欧州各国にも配給された。瓜二つのふたりの男性の間で揺れ動く多感な少女を演じて、日本の映画祭の賞を総なめした。背景には東日本大震災の被災地がある。海辺の堤防に立ち海風に吹かれて、長い髪が後ろにたなびかせながら、海を見つめる彼女のアップは長く語られるだろう。

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