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2019年6月5日

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崔 碩栄 (チェ・ソギョン)

ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

日本への謝罪はNG、中国への謝罪はOK

 2012年8月ロンドン五輪のサッカー3、4位決定戦で韓国と日本が激突した。試合は2:0韓国の勝利で終わったが、試合終了直後に起きた一つの「事件」が日韓の葛藤と対立を招くことになる。

 韓国代表の朴鍾佑が上半身裸になったうえで国旗の太極旗と一緒に「独島(竹島の韓国名)はわれわれの領土」と韓国語で書かれたメッセージを掲げてグラウンドを走ったのだ。この場面を覚えている日本人も多いだろう。

 この行為が政治的な宣伝活動を禁止するオリンピック憲章を違反した疑いがあり、国際オリンピック委員会(IOC)は朴選手に銅メダルの授与を保留し、事情調査を始めた。

 その時、これが大きな問題に発展することを恐れた韓国サッカー協会は、事態を収拾するため日本サッカー協会に「偶発的な行動に遺憾。両国サッカー協会の友好関係を考慮しご理解頂けたらありがたい」という解明のメールを送った。

 「謝罪」という表現は使わなかったものの、懲戒を受ける危機にいる選手を守るため、頭を下げたといっていいだろう。

 しかし、当時このメールを送ったことで韓国サッカー協会会長はその直後激しいバッシングをうける。「日本へ謝罪メールを送った」との記事が報じられると、「日本にあまりにも低姿勢」「朴選手が言ったことが間違いだというのか」と叩かれ、国会に召還されては国会議員に「(あなたは)日本の立場にいるのか」と怒鳴られる場面もあった。

 また、ある国会議員からは「屈辱的な外交文書。国民に謝罪すべき」という攻撃まで受けた。

 朴選手は、ロンドンオリンピックの6カ月後IOCで開かれた委員会で銅メダル授与は認められたが、Aマッチ2ゲーム出場禁止と罰金という処分を受けた。第3者であるIOCから見ても明らかな「違反」だったのだ。

 しかし、明らかな違反だったとしても相手が「日本」なら、歪んだ反応を見せるのが韓国だ。「謝罪」という言葉を使わなかったとしても少しでも頭を下げたり、低姿勢を見せたりすることは韓国内の国民情緒からみたら許される行為ではないのだ。

 今回のトロフィー侮辱事件が起きたパンダカップは2014年始まった大会で、今大会にはタイ、韓国、ニュージーランド、中国の4カ国だけが参加したまだ小さい、オリンピックとは比べられない規模の大会だ。

 だが、事件が起きた途端、素早く中国サッカー協会に謝罪した韓国サッカー協会、そしてそれを当然のことだと受け止める韓国の世論を見て私は違和感を覚えざるを得ない。2012年のロンドンオリンピックの時とはあまりにも対照的だったからだ。もし、今回の大会が日本で開催された大会だったとしたら、韓国は素早く謝罪を表明しただろうか?

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