<短期連載>ペット業界の舞台裏

2011年12月30日

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 ペットショップは、生体販売・トリミング・フード販売・グッズ販売・ペットホテル・トレーニングのどれか、もしくは複合して行っています。不況に加えて、グッズやフードのネット販売が普及している現状もあり、店舗での物販の売り上げが落ちていると聞きます。来店客を見込めるのは生体販売とトリミング・ホテルが主となり、特に生体販売は利益率が他の商品に比べて大きいため、売上のトップを占めるというお店が少なくありません。

 生体販売は国内で問題視されていることもあり、縮小する動きになっています。生体販売に依存している風潮がまだ大きいことと、その風潮が現状の動物の福祉にそぐわない業界体質を作り上げてきてしまった経緯があるからです。業界内での動物の福祉を向上させ、なおかつ生体販売依存を断ち切るために何か新しい商材を、と考え注目したのが「医薬品の販売」です。

ペットの世界にも予防医療が必要

 ペットにも高齢化等で体に変調を持つ仔が増えています。人間でいえば生活習慣病の予備軍とでも言うのでしょう。体の状態を把握しケアを行ってあげることが、健康を維持するために必要となってきます。

 現状、ショップやサロンなどには足を運んでも、自分のペットの健康状態を把握するために病院へ通う飼い主は多くはありません。病院へ行くのは症状が出てから、またはワクチンやフィラリア等の予防薬を購入する時という飼い主が多いようです。初診料を支払い、時間をかけて予防薬を買う位ならばネットで購入する、という飼い主も増えています。しかし、症状が出てからでは病状が進んでしまっている場合が多く、快方や完治に繋げるためには時間と費用が必要となってしまいます。また、飼い主が専門知識を持たずに医薬品を選び与えることで、別の弊害を受けてしまう例もあります。

 ペットの世界にも予防医療が必要とされています。人間の場合、地域に密着した町医者と言われる病院や鍼灸などの治療院を入り口とし、病状に合わせて専門病院を紹介するという医療連携がなされています。ペットの場合、その入り口をショップやトリミングサロンで行えるのではないでしょうか。

あまり知られていない「動物用医薬品登録販売者」

 多くの飼い主が自分のペットの相談をするショップやトリミングサロンで、スタッフが知識に基づいたアドバイスと最低限の予防薬や治療薬を販売する。これが可能であれば、大がかりな施設の変更や仕事のスキームを変えることなく、店舗の売上を伸ばすことが可能です。また、治療を必要とする仔に対して、飼い主から信頼を得て病院へ誘導することができます。

 しかし飼育のプロであるショップやサロンのスタッフでも、現状の民間資格制度ではその信頼性も低く、医薬品の取り扱いなども出来ませんでした。そこで注目したのが、農林水産省管轄の「動物用医薬品登録販売者」の資格です(http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/touroku.html?edit=1∪=1)。薬事法改正のため5年前に施行された制度です。様々な協議を重ねて実施に至ったようですが、あまり知られていませんでした。農水省のこのページも筆者が関係業者と農水省へ赴き、ようやく明記して頂いたものです。今年の4月に東京都で初めて資格試験が実施されました。有資格者は指定以外の医薬品の仕入れや販売を行うことが出来ます。

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