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2019年6月12日

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デイブ・リー北米テクノロジー担当記者

人間より作業効率の良いロボットを一部倉庫導入している米インターネット通販大手アマゾンは、今後も常に人間の労働力は必要だと述べ、全自動化の可能性を否定した。同社のロボット技術部門トップがBBCの取材で述べた。

アマゾンはすでに、約50の自社倉庫に、20万台以上のロボットを導入。高度なロボット工学にも多額の投資を行なっている。

5日には、倉庫内で仕分け作業を行なう「Pegasus」や、荷物を入れたパレットを運ぶ「Xanthus」など、新型ロボットを発表した。

しかし同社のロボット技術部門を率いるタイ・ブランディ氏は、全自動化の段階に達することは決してないだろうと述べた。

機械学習や自動化、ロボット工学や宇宙産業で活用される技術などに関する、同社のカンファレンスイベント「re:MARS」でBBCの取材に応じたブランディ氏は、「そんなことには全くならない。そんな風になるとは少しも思わない」と、倉庫の全自動化を否定した。

「これは人間と機械の調和だと考えている。どちらも必要だ。我々の目の前にある挑戦とは、人間の可能性を伸ばすために、どのように賢く機械をデザインするかということだ」

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「人間対機械ではない」

ブランディ氏は、ロボット工学やAI技術が人間と置き換わるという考えは「神話」だと述べた。

「人と機械の関係性をリフレーミング(物事について異なった見方をすることでその意味を変化させること)している」

「人間の可能性を伸ばし、生産性を高める。そうすれば5年前には思いつかなかったような新たな雇用を生み出す能力を獲得できる」

現状、ロボットは、様々な形状や規格の物体を拾い上げることには不向きなため、特に食品を取り扱う現場などでは人間の労働力が重要だ。

ブランディ氏は「これは人間対機械ということでは全くない。人間と機械が共に働き、仕事を成し遂げるということだ」と述べた。

「ベゾスを阻止しよう」法

一方で、アマゾンの職場環境は厳しく批判されている。

英全国都市一般労働組合(GMB)は昨年11月、アマゾンの倉庫での労働状況は「非人間的」だとして、労働者によるストライキを行なった。

GMBのティム・ローチ書記長は声明で、「従業員は骨折したり、殴られて気を失ったり、救急車で搬送されたりしている」と主張した。

「我々は、もううんざりだと声を上げるために立ち上がっている。彼らはアマゾンの利益を生みだし、子どもを育て、家賃や生活費を支払っている従業員であり、ロボットではない」

これに対しアマゾン側は、「すべての労働現場は安全だ。事実とは真逆のこの訴えは誤りだ」と反論したものの、労働面を改善することとなった。バーニー・サンダース上院議員などから相当な圧力を受け、今年初めには倉庫従業員の最低賃金を時給15ドルに引き上げた。

サンダース議員はロー・カンナ下院議員と共同で、連邦補助金に頼らないと暮らしていけないレベルの最低賃金を維持している企業には、課税率を引き上げる法案を提案した。

「Stop Bad Employers by Zeroing Out Subsidies(国の補助金をゼロにすることで悪徳な雇用主を阻止しよう)」と名付けられたこの法案は、一部の頭文字をとって「Stop BEZOS(ベゾスを阻止しよう)」あるいは「BEZOS Act(ベゾス法)」と呼ばれる。

ベゾスとは、同社のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)を意味する。

(英語記事 Human staff will always be needed, Amazon insists

提供元:https://www.bbc.com/japanese/48590926

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