コカイン世界最大生産地コロンビアの現場から

2019年6月18日

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柴田大輔 (しばた・だいすけ)

フォトジャーナリスト

日本芸術専門学校卒業後、フリーランスのフォトジャーナリストとして取材・報告活動を始める。2004年から1年間、ラテンアメリカ13か国を旅し、現地で出会った多様な風土と人々の生活に惹かれ、コロンビアを中心にメキシコ、ニカラグア、ペルーで住民運動や日常生活を取材し続けている。

 コカインの原料となるコカの葉は南米原産の植物でアンデス山脈に暮らす先住民族は医療や儀式に用いてきた。

 コロンビアで訪ねたある民族の家庭では、自宅の敷地でコカの木を栽培し、病気の際はその葉を煎じたお茶を飲む。

 医療行為の他に、身体や土地から悪いものを取り去る「お祓い」「お清め」にも用いる。家族や近隣で事故など悪いことが続くと司祭を招き、コカの葉を咀嚼し儀式を行う。

コカを噛みながら、体調を崩す少女に医療を施す先住民族の医師(筆者撮影、以下同)

 コカはその民族にとって、肉体や精神、空間を「良い」状態に保つための大切な植物だ。コロンビアで違法とされるコカ栽培は「先住民族居住区」内に限り、伝統活動として一定量の栽培が認められている。

 しかし、近年蔓延する貧困から、栽培が認められていない地域でも違法的な形で麻薬産業が広まった。貧困と麻薬産業に振り回される先住民族の青年の話をしたい。

届いた1通のメール

 「日本で働きたい」

 昨年、コロンビアに暮らす友人からメールが届く。彼はマウロという26歳の青年だ。

 マウロとの出会いは2007年、山岳地帯を取材する中で彼の家族と知り合ったことがきっかけだった。以来、親しい付き合いが今も続く。彼のメールにはこう書かれていた。

 「元気かい?オレ、どうしても日本で働きたいんだ。どんな仕事でもする。面倒なこと言ってごめんな。でも、こっちには仕事がないんだ」

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