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2019年6月21日

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露口洋介 (つゆぐち・ようすけ)

帝京大学経済学部教授

帝京大学経済学部教授。専門は中国経済、金融論。1980年東京大学法学部を卒業し、日本銀行入行。在中国大使館経済部書記官、日本銀行香港事務所次長、日本銀行初代北京事務所長を歴任し、2011年に日本銀行を退職。信金中央金庫、日本大学経済学部教授を経て2018年4月より現職。著書に『中国経済のマクロ分析』(共著)、『中国対外経済政策のリアリティー』(共著)、『アジア太平洋の未来図』(共著)、『中国の金融経済を学ぶ 加速するモバイル決済と国際化する人民元』(共著)など。

 2019年6月4日は天安門事件から30周年に当たる。事件当時、筆者は日本銀行から派遣され、北京の日本大使館で勤務していた。天安門事件発生後、混乱した北京からの日本人の帰国を支援し、空港まで送り届けるためのバス部隊の配車などを担当した。事件から3日後の6月7日には、筆者が住んでいた外交官アパートに対して人民解放軍の機関銃の乱射が行われ、筆者の部屋にも30発ほどの弾丸が撃ち込まれるという経験もした。天安門事件後、欧米諸国は中国に対して経済制裁を行い、日本も中国に対する第三次円借款の凍結などの制裁措置を採ったが、1990年11月には欧米に先駆けて円借款の凍結を解除するなど関係改善に動いた。30年後の現在、再びアメリカと中国が厳しく対立する事態が生じている。

Lee Woodgate/gettyimages

米中貿易摩擦は長期化の様相

 2018年7月に制裁関税を互いに発動して本格化した米中間の貿易摩擦であるが、合意が形成されるのではという期待もあった中、2019年5月10日にアメリカが2000億ドル分の中国製品への関税を25%引き上げるという新たな措置を打ち出したことによって、長期化の様相を呈している。アメリカ側は、中国が同国内への進出企業に対する強制技術移転や知的財産権の保護、さらには国有企業に対する補助金の問題などに関連して出来上がりかかっていた合意書を急きょ撤回したとしている。一方、中国側は、6月2日に「中米貿易摩擦に関する中国側の立場」と題する白書を公表し、アメリカ側が要求をエスカレートさせて中国の主権に干渉する強制的な要求を行った結果、合意に達することができなかったとしている。

 制裁関税の発動と並行してアメリカは2018年8月に国防権限法を施行した。この法律には、米国政府が定める技術を含む製品の輸出を規制する条項、外国企業の対米投資に対する審査権限の強化が定められ、さらにファーウェイ(華為)を含む中国企業5社の製品が政府調達における禁止対象製品として指定された。2019年5月15日には、米商務省が輸出管理法に基づき国家安全保障上の懸念がある企業のリスト(Entity list)にファーウェイを記載した。これによってファーウェイに対して製品やソフトウェア、生産・開発に必要な技術を輸出することは原則としてできなくなった。

 アメリカは中国との間の貿易取引や投資関係を量的にも質的にも厳しく制限し始めている。そして、両国がお互いに譲れないとしている部分での対立を解消できない限り、このような状態は長期に継続する可能性がある。

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