海野素央の Love Trumps Hate

2019年6月25日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

メリットに基づいた移民政策

 トランプ大統領は演説の中で移民政策に触れ、「スキルや貢献に基づいた近代的な移民システムを構築するときが来た」と強調しました。移民希望者のスキルや能力をポイント化して、彼らを受け入れるか否かを判断する「メリット」に基づいた移民政策の提案です。

 さらに、トランプ大統領は「『聖域都市』を支持する人は、大統領選挙に出馬することを許されるべきではない」と語気を強めて語りました。聖域都市とは不法移民に寛大な政策をとっているサンフランシスコなどの都市を指しています。

「第45代米大統領を支持するバイクの愛好家」の団体に所属するアリーさん(右)(海野撮影@フロリダ州オーランド)

 「Bikers For 45(第45代大統領を支持するバイクの愛好家)」の団体に所属する白人女性アリーさんは、40代半ばに見えました。第45代大統領(トランプ大統領)を強く支持しているアリーさんは、移民政策について次のように指摘しました。

 「私はハウスキーパーの仕事をしています。低収入です。不法移民は無償で教育を受けています。不公平です。私の税金を使っているんですよ」

 アリーさんは不法移民に対して怒りと不満を抱いていました。続けて、彼女はこう述べました。

 「私はメリットに基づいた移民政策に賛成です。メキシコ系移民はスペイン語を話します。彼らは英語を話すべきです」

 アリーさんにとって、移民を受け入れるか否かの基準となるメリットは、英語能力でした。以前説明しましたが、トランプ支持者の中にはメキシコ系移民は愛国心がなく、白人文化を受容しないとみている者が少なくありません。アリーさんもその1人でした。

トランプの再選戦略―追加関税

 トランプ大統領は演説の中で、「中国は米国の雇用、企業、アイデアや富を盗んだ。この時代は終わった」と述べて、中国を「盗人」扱いし、拍手喝采を浴びました。中国製品にかけた追加関税によって、歳入が増加した点も強調しました。

「トランプ米大統領を支持するバイクの愛好家」のTシャツ(海野撮影@フロリダ州オーランド)

 バイクの愛好家で作った別の団体「Bikers For Trump(トランプ大統領を支持するバイクの愛好家)」に属し、クリフさんの友人で建設業の仕事をしている高卒の白人男性ケンさん(55)は、中国に対して強い不公平感を持っていました。

 「中国は経済的に米国の脅威です。中国はこれまで米国を利用してきました。中国が米国製品に50%の関税をかけたら、米国も中国製品に対して関税を50%引き上げるべきです。トランプは中国との関係を公平にしようとしています」

 トランプ大統領は貿易問題で成果を出して支持基盤にアピールするために、追加関税を再選戦略に組み入れたことは間違いありません。これは16年の選挙戦略にはありませんでした。

 ちなみに「Bikers For Trump」の由来は、トランプ集会に潜入した抗議運動家からトランプ支持者を守るために結成された団体だと、ケンさんが教えてくれました。

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