2024年4月19日(金)

Wedge REPORT

2019年6月27日

それでも価格は下がりにくい構造

 昨年の首都圏のマンションの平均取得価格は5927万円だった。販売の売れ行きが良くないのならば、価格を下げればよいと思うのだが、井出研究員によれば、そう簡単には下がらないという。なぜならば、建設作業員の人件費が上昇するなどコストが上がっているため、売る側はなかなか下げられないという。

 さらにリーマンショック以降にマンション業界の寡占化が進み、メジャーセブンと呼ばれるマンション大手7社の販売比率が高く、JV(ジョイント・ベンチャー)物件も多いため、値下げ競争に陥りにくい構造になっている。

 またマンション大手業者は「どこもオフィスビル、ホテルなども手掛けており、これが絶好調で利益を上げているため、マンションが多少売れ残ったからと言って、価格を下げて無理をして売る必要がない」という事業性に余裕がある。特に都心部のオフィスは空室率が少なく、新築オフィスがすぐに埋まる状況のため、マンション部門が多少悪くても会社全体としては増収増益状態にある。

 しかし、郊外物件や駅から遠いため売れ行きの悪いマンションでは、実質的な値下げになる家具付き住宅で販売することや、分譲での販売を諦めて賃貸住宅として貸し出し、どうしても売れ行きが悪い場合には別の業者に卸して損失を最小限に抑えることなども行われることがあるという。だが、これはあくまで例外的なようで、現状では大きな値崩れは起きていないようだ。


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