田部康喜のTV読本

2019年7月3日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

(aywan88 / iStock / Getty Images Plus)

 BSプレミアム「ベビーシッター・ギン」(毎週日曜よる10時)は、連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、「わろてんか」などのドラマや、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」でも活躍している、大野拓朗が女装のベビーシッター・下落合ギンに扮して、派遣先の家庭の悩みを、ユーモアをふんだんに盛り込んで解決していく喜劇である。ミュージカル仕立ての劇中劇の歌と踊りも楽しい。

美々子との掛け合いもドラマの楽しみのひとつ

 下落合ギン(大野)と、妹の美々子(ゆりやんレトリィバァ)は、没落した旧家の兄妹である。財産といっても大きな屋敷があるだけになってしまった。ふたりは、執事の中津川龍之介(竜雷太)にかしずかれながら暮らしている。

 家計の助けにしようと、美々子が社長、ギンがたったひとりの所属ベビーシッターの「下落合ポピンズ倶楽部」を経営している。英国ナニー協会認定のベビーシッターを名乗る、ギン役の大野は、黒づくめの英国風淑女の衣裳と、サングラス、美しく化粧をしている。お笑いの吉本興業にあって、若手実力派のゆりやんレトリィバァが演じる、美々子との掛け合いもドラマの楽しみのひとつである。

 第1回(6月30日)は、ゲストに鈴木杏を迎えた。上大岡久美子(鈴木)は、職場で知り合った夫の誠(渡部豪太)と、いわゆる「できちゃった婚」で、生まれたばかりのひとり息子の育児に追われている。

 義母の八千代(高橋ひとみ)は子育てと家事の専門家で多数の著作を持ち、テレビ出演に追われている。その影響もあってか、誠は「イクメン」を自称しているが、その実態は自分の都合のよいことしか育児を手伝ってはいない。おむつの取り換えや入浴は妻の久美子任せ、といった具合である。

 「下落合ポピンズ倶楽部」の電話番号が、蕎麦屋と似ていたために、久美子(鈴木)は誤って、ベビーシッターを頼んでしまう。訪れたギン(大野)に戸惑う久美子だったが、ギンはかまわずにマンションの一室に入り込んで、ベビーシッターとして働き始める。

 「英国のナニーは、19世紀から20世紀に確立した仕事で、ベビーシッターばかりではなく、子どもの家庭教師、育児に悩む母親のカウンセリングまでいたしますの」と。

 ギン(大野)のベビーシッターぶりは、子育てのための講習会のような感覚がある。

 久美子が育児に追われて、食事をカップラーメンしかもお湯もかけずに食べているのを見抜くと、「母乳の出が悪くなって、乳腺炎になる原因になります。わたしが食べますね」と整理する。久美子が「胸が痛い」と叫ぶと、「乳腺炎にならないように、マッサージをしますわ」。

 赤ちゃんの息子が泣き止まないと、上向きに寝かせて、自分の手のひらで胸から手にかけてゆっくりと押し上げる。「赤ちゃん体操よ」と。母乳が出るようになる食事として、豚汁を作ってみせる。

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