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2019年7月5日

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は、7月4日の独立記念日に首都ワシントンのリンカーン記念堂で演説し、米軍に所属する「勇敢な男性と女性」を称賛した。国民的祝賀行事に米軍機による実演飛行や、戦車の展示が盛り込まれたことについて、野党・民主党からは「政治利用」だと批判の声が上がっている。トランプ氏が演説で、18世紀末の独立戦争中に米軍が「空港を押さえた」と発言したことも、話題になっている。

トランプ大統領は雨の中で演説し、集った人々に対し、「我々は、この国の歴史や国民、そして国旗を誇らしげに守る勇者たちを褒めたたえる」と述べた。

「アメリカに敬礼を(Salute to America)」と名付けられた祝賀行事では、花火が打ち上げられた。

さらに、米軍機による実演飛行が行なわれたほか、会場近くでは戦車「エイブラムス」2両などが展示されるなど、軍事色が強いものとなった。エイブラムス戦車は総重量が1台約70トンのため、周辺道路を走行させることができず、道路脇に展示されることとなった。

今回の式典については、トランプ大統領が2017年7月14日のフランス革命記念日に、パリで観覧した軍事パレードに触発されてこのような形になったと言われている。大統領はその後、ワシントンでの大規模な軍事パレードの計画を指示していた。

民主党は、トランプ氏が再選を目指す来年の選挙を前に、資金を浪費し、国民的祝賀行事を政治利用していると非難した。

国防総省はいまのところ、この派手なショーの経費については明らかにしていない。

一部報道によると、国立公園の収益、約250万ドル(約1億7000万円)が経費に充てられたとされる。

米軍への敬意を表す

会場では、米映画「スター・ウォーズ」のテーマ曲や、米大統領を称える行進曲「ヘイル・トゥ・ザ・チーフ(大統領万歳)」、米愛国歌「ゴッド・ブレス・アメリカ」が演奏された。

豪雨や高温をものともせず集った人々に対し、トランプ大統領は、各軍種による実演飛行に先立ち、米軍への敬意を表した。

トランプ大統領は、独立戦争は同国の「並外れた遺産」だと称賛した。

「我々は、過去最高の物語のひとつ、アメリカの物語の一員だ」

群集は時折、「USA、USA」と声を上げて応えた。

「これは、より良い、より明るい未来への夢を決して諦めなかった、勇敢な市民の壮大な物語だ。より良い未来のための戦いをやめない限り(中略)アメリカに実現できないことは何もない」

大統領の演説が終わると、多くの人はコンサートを鑑賞するため連邦議会議事堂へと移動した。

独立記念日にワシントン中心部の国立公園ナショナル・モールで大聴衆を前に大統領が演説するのは、ハリー・トルーマン大統領が1951年にワシントン記念塔の前で演説して以来。

独立戦争で米軍は「空港を押さえた」?

さらに、演説の中でトランプ氏は、アメリカ独立戦争(1775~1783年)について語りながら、「我が軍は空に展開し、城壁に突入し、空港を押さえ、やるべことは全てやった」と述べた。ライト兄弟が動力飛行機を造り、有人動力飛行に成功したのは1903年。

続けてトランプ氏は、独立戦争終結につながった1781年のヨークタウンの戦いと、1812~1815年の米英戦争における1814年のフォート・マクヘンリーの戦いを混同し、1814年の戦いを描写する国歌「Star-spangled Banner」の歌詞を引いてヨークタウンの戦いを説明した。

「空港」発言について5日に記者団に質問されたトランプ氏は、「演説はよく知っていたので、テレプロンプターなしでできたが、テレプロンプターは実際に壊れたし、そもそも雨で濡れていたので見づらかったけれど、雨は降ってもともかく素晴らしい夕べだった」と述べた。

ツイッターでは大勢が大統領演説のこの歴史のゆがみに注目し、「#revolutionarywarairportstories (独立戦争空港話)」のハッシュタグを使うなどして、反応した。

たとえば、ユーザーの「@King_Of_Shade」さんは、「1776年の『バゲッジクレームの戦い』」を創作し、ツイートした。

https://twitter.com/King_Of_Shade/status/1146983221617418241


誰が出席したのか

祝賀行事は無料で一般にも公開された。会場前方には一部、チケットが必要なVIPエリアが設けられた。

ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長率いる国防総省幹部が出席したが、陸・海・空軍と海兵隊の参謀長は欠席した。

国防総省の声明によると、ホワイトハウスは同省にチケット5000枚を送ったほか、大口献金者や政治任用官にはVIPチケットを配布したという。

トランプ大統領の選対陣営は今週、支持者に祝賀行事に出席を呼びかけるメールを送信した。一方で、民主党全国委員会にはチケットが1枚も配布されなかった。

経費はどれくらい?

祝賀行事に先立ち、トランプ大統領は経費について、「この価値に比べれば安いものだ」とツイートした。

軍の実演飛行だけでも、1時間あたり数万ドルかかる。

トランプ大統領は当初、昨年11月のベテランズ・デー(退役軍人の日)に合わせて軍事パレードを計画するよう指示していた。しかし、国防総省から、見積もりの3倍以上にあたる9200万ドル(約99億円)の経費がかかるとの説明を受け、断念していた。

公的資金の悪用

民主党は、国民的行事で不適切に共和党色が打ち出され、公的資金が悪用されたと捉えている。

2020年米大統領選へ向けた民主党候補の指名争いで、最有力とみられているジョー・バイデン前副大統領は、別の民主党候補2人と共に、アイオワ州で行なわれた独立記念日パレードに参加した。

バーニー・サンダース上院議員はツイッターで、「これこそ権威主義者のやりようだ。ドナルド・トランプは、ワシントン中に戦車を走らせ、自分自身を称賛するために、250万ドルを我々の国立公園から取り上げるのだ」と批判した。

抗議者はトランプ大統領に似せて作った「赤ちゃんトランプ」の巨大風船を準備したものの、飛行許可が下りなかった。

大きな混乱はなかったが、ホワイトハウスの外ではこの日の朝、国旗を燃やすなどして抗議する人が現れた。

(英語記事 Trump hails US military in 4th of July address / Trump blames 'airports' gaffe on teleprompter )

提供元:https://www.bbc.com/japanese/48878119

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