BBC News

2019年7月8日

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犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案をめぐり、廃案を求める抗議行動が続く香港で7日、数万人が市内の道路を埋め尽くし、大規模な行進を行なった。抗議者が立法会(議会)を一時占拠した1日夜以来の大規模デモとなった。

デモ隊は、「逃亡犯条例」改正案への懸念を示すため、中国本土からの旅行者に人気がある九龍半島の繁華街で、香港と中国本土を結ぶ高速鉄道の駅である西九龍駅へ向けて行進を行なった。

本土からの旅行者の注目を集めるため、香港で主に使われている広東語ではなく、本土の標準語である北京語で声を上げた。また、横断幕には、香港で主流の伝統的な繁体字の代わりに、簡体字が用いられた。

中には、中国の国歌を歌うことで、本土からの旅行者の気を引こうとする抗議者の姿もあった。

抗議者の1人、エディソン・ンー氏(18)は、AFP通信に対し、「我々は、中国本土からの人を含む観光客に、香港で何が起こっているのかを示したい。彼らが、この構想を中国本土へと持ち帰ってくれることを望んでいる」と述べた。

7日遅くには、警棒を持った機動隊がデモ隊とにらみ合った。

警察は抗議行動をやめて解散するよう警告したが、雨傘を持ったデモ隊は抵抗した。

現場で撮影された映像では、警察が複数の抗議者を拘束している様子が確認できる。

主催者発表によると、この日の行進には23万人が参加したという。一方で警察は、抗議のピーク時で、5万6000人規模だったとしている。

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「逃亡犯条例」改正案の廃案求め

香港では、「逃亡犯条例」改正案をめぐり、政府への抗議行動が続いている。

改正案の審議が予定されていた先月12日には、反対派の市民ら数千人が立法会周辺で抗議デモを繰り広げ、香港警察は催涙ガスやゴム弾を使用した。

政府側は当初、「逃亡犯条例」改正案によって、香港が犯罪者の安全な逃げ込み先にならないよう、法の「抜け穴」をふさぐ意向を示していた。

しかし、この改正案により、大きな欠陥のある中国の司法制度に、香港がさらされてしまうのではないかとの批判の声が上がっている。

相次ぐ大規模な抗議デモを受け、林鄭氏は先月15日、立法会での改正案の審議中断を発表した。しかし、改正案の完全な撤回を求める抗議者からは、林鄭氏の退陣を求める声が上がっている。さらに、6月12日に立法会周辺で繰り広げた抗議行動に対する「暴動」という言葉の使用取消や、拘束中の活動家全員の釈放、および警察による暴力に関する調査も求めている。

「一国二制度」崩壊への懸念

香港はかつて、150年以上にわたってイギリスの植民地だった。

イギリスと中国は1984年に、「一国二制度」の下に香港が1997年に中国に返還されることで合意した。香港は中国の一部になるものの、返還から50年は「外交と国防問題以外では高い自治性を維持する」ことになった。

香港市民には、言論の自由や表現の自由など、中国本土ではみられないような権利が保障されている。

しかし、「逃亡犯条例」の改正案が通った場合、中国政府による香港統治が迫り、その高度な自治性が維持されなくなるのではないかという懸念が高まっている。

イギリス、中国の反応

イギリスのジェレミー・ハント外相は4日、中国は、1984年のイギリスとの合意に基づき、香港の高度な自治性を履行しなければならないと繰り返した。また、デモ隊の扱いをめぐり、中国政府は「深刻な結果」に直面する可能性があるとも警告した。

一方、駐英中国大使の劉曉明(リュウ・シャオミン)氏は7日、香港をめぐるイギリス政府からの「冷戦型思考」を拒絶した。

BBCの「アンドリュー・マー・ショー」に出演した曉明大使は、香港政府がこの事態に対処できると確信していると述べ、香港の内政事情に干渉しているのはイギリス政府だと反論した。

(英語記事 Hong Kong protesters appeal to Chinese tourists

提供元:https://www.bbc.com/japanese/48904286

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